参時 工事中の新築マンションにトラックで突っ込もうかと考えたこともありました。そこまで思い詰めていたときに、ふとシェアハウスでの仲間との楽しい生活を思い出して、僕にはもっと違う生き方ができるはずだと思えてきたんです。

 そこで人生を変えようと思い、コーチングの仕事をしている知人にこれまでのことを伝えたんですね。そうしたら、「自分の気持ちを人に話さなければ、他人のことがわからないのは当然。仕事もできないし、自分のやりたいことがわからないのも仕方ない。だから、まずは自分の気持ちを身近な人に話すことから始めなさい」と諭されたんです。

「自分のありのままの感情」をSNSに投稿したら…

――すぐできるようになりましたか?

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参時 35年間やってこなかったことなので、できませんでした。そこで次は「文章で書いてみなさい」と助言され、SNSで仕事がつらかったときのことや、トラックで突っ込む寸前だったことを書いたんです。どう受け取られるか不安で仕方ありませんでした。でも、死を選ぶよりはマシだと思って投稿したんです。

 最初は誰からも反応はこないだろうと思っていたのですが、むしろいつもの投稿よりもリアクションがあってびっくりしました。「その気持ち、わかるよ。大変だったな」とか「今度飲もう」とか、共感や励ましのコメントがたくさんついたんです。

 これまで自分の愚痴や弱みは、稚拙で醜い感情で人に見せるべきものではないと思っていたんです。だから、SNSでこんなことを書いたら嫌われるのではないか、気持ち悪がられるのではないかと不安でしたが、誰もそんな反応をしない。それどころか共感や褒め言葉までいただいて、うれしくて泣いてしまいました。

 それを機に、口数も増えました。人からの言葉に喜んだり、傷ついたりと、以前よりも心が反応できるようになったんです。

35歳のときに、ようやく自分の気持ちが伝えられるようになった (画像:本人提供)

――大きな変化でしたね。

参時 こうして自分の気持ちを伝えられるようになったんですが、両親とはまだ話す機会がありませんでした。思い立ったその日に実家に帰って、両親に小さい頃からお兄ちゃんとして育てられて自分の殻に閉じこもってしまったこと、無欲・無気力・無感動と言われて傷ついたこと、死にたかったこと……などこれまでためにため込んでいたことをすべて話しました。

 この話を母親にするのは特につらくて。なぜなら母の兄である僕の伯父は、24歳のときに自殺しているからです。 

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