フライヤー一杯の緑の春菊たぬきは香りの塊
島ちゃんによると、春菊は葉っぱを刻み茎を少し大きめにカットして歯ごたえを出しているという。葉っぱが香りを出すので細かく叩くのがポイントだそうだ。しかもかなり高級な小麦粉を使用しているようだ。
ひばりヶ丘店にはセントラルキッチンがあるので、ここのフライヤーを使って大量のたぬきを作り、真空パックで保存して、富士見台本店に運んでいるそうだ。店奥にあるフライヤーでちょうど作っているところだったので見せてもらうことにした。
ピカピカのフライヤーに刻んだ春菊のどろを流し込むとシュワーーっとはじける音が広がって、すぐに春菊の香りが追いかけてくる。ある程度の小さな塊になっていくのでカリカリになるまで揚げて完成である。その後十分に油を切って真空パック詰めにする。
「春菊のたぬきは、おにぎりに入れてもうまいし、カレーにかけてもうまい。ラーメンに入れても抜群。そばつゆにごはんを入れて天茶のように振りかけても凄くうまい。万能選手なんですよ」と島ちゃんはいう。
緑の春菊たぬきは万能選手! その誕生秘話
そういわれると試したくなる。半ライスを注文し、残ったつゆに入れて、緑のたぬきを少し振りかけてもらい天茶を作って食べてみたのだが、これが突き抜けるうまさ。すごいたぬきを開発してしまった島ちゃんはご満悦だ。
そしてその誕生秘話がまた面白い。
「麺処盛盛」では天ぷらを販売していない。富士見台の本店は厨房が狭く、人気の肉そば用の豚肩ロース肉の加工やモツの作製で手一杯。それでフライヤーを配置できなかった。お客さんからは「天ぷらやって~、たぬきそばが食べたい~」としばしば言われていたそうだ。
そこで、ひばりヶ丘店をオープンする時、セントラルキッチンを作り、肉やモツの加工も行えるようにして、さらにフライヤーも設置した。それで手始めに、それまでメニューになかった「たぬきそば」を始めるため、たぬきを試作することにした。
その際、どうせなら変わったたぬきを作ってみようということになり、すぐに紅生姜と春菊を使おうと閃いたのだという。この辺りがさすが達人である。



