こちらもアクション映画の快作『アンジェントルメン』
こちらも、アクション映画の快作だ。近年に日本で公開されるハリウッド映画では珍しくなった、過不足なくスカッと楽しめるエンターテインメント作品になっている。
時は第二次世界大戦中。ナチスのUボートによる海上封鎖に苦しめられていたイギリスのチャーチル首相は、Uボートへの兵站基地となっている大西洋上の中立国にある港湾に停泊する輸送船の爆破を思い立つ。だが、それは法律に反するため非合法な行為。そこで隠密裏に工作チームが結成され、ミッションに当たることになった。
このチームがステキだ。リーダーのガス少佐(ヘンリー・ガヴィル)を始め、誰もが一芸に秀でた荒くれ者たちばかり。オンボロ船で大西洋を航行するのだが、その間はナチスに正体がわかれば命はないのはもちろん、非公式な任務であるためイギリスの軍船に見つかっても逮捕される危険性がある。にもかかわらず、どんな危機でも慌てず騒がず。余裕すら感じさせながら、それぞれの特性を活かして次々と困難な状況を突破していく様は、実に痛快極まりない。
この辺りはまさにガイ・リッチー監督の真骨頂といえるところだ。この監督ならではのテンポの良さやユーモア、さらにジェリー・ブラッカイマーのプロデュース作品ならではの豪快な銃撃戦や爆発の数々が、荒くれたちの活動に躍動感をもたらしていた。
彼らの乗る舟はボロだが、大船に乗ったつもりで楽しめる冒険活劇になっていて、その爽快感はどこか昔懐かしさすら覚える。登場人物の一部などの設定自体にも「007」シリーズの前日譚的なところもあるが、まさに一九八〇年代くらいまでの同シリーズのような、弾けた陽性の娯楽性に溢れている。



