路上生活を選ぶ成年者に対しては、職業訓練などの社会復帰プログラムをどう届けるかが課題だ。こうした世代に向けては、SNSを活用した啓発活動や、安全な居場所への誘導が効果的だと考えられるので、行政における広報活動の強化が重要だろう。

パパ活にしてもトー横キッズにしても、そのような状況を生み出している根底には、今の日本が抱える経済格差の広がりや、社会的孤立者が増加しているという問題がある。こうした若者たちが未来に希望を持てる環境を作り出すためには、政治や行政だけでなく、家庭、学校、地域社会が一体となって問題に取り組んでいくほかない。

歌舞伎町ではびこる「マネロン」

繁華街は組織犯罪における資金獲得の場である一方、得られた犯罪収益をマネーロンダリング(資金洗浄)する場として使われるケースもある。

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マネーロンダリングとは、犯罪収益の出所を隠して、それを合法的なものに見せかける一連のプロセスのことを指す。日本においては犯罪収益移転防止法(犯罪による収益の移転防止に関する法律)で規定されており、不法収益を隠すために資金を移動させる行為、犯罪による収益を合法的な資金であると偽る行為、不法収益の所在を隠す行為などが禁止されている。

当然ながら、マネーロンダリングが広がれば、国の金融システムや経済の透明性が損なわれるうえ、組織犯罪やテロ活動の資金源ともなるので、国際的にも厳しい取り締まりの対象となっている。

現金が飛び交う歌舞伎町はマネロンに好都合

では、繁華街におけるマネーロンダリングとは、一体どういうものか。

最も分かりやすい事例としては、キャバクラやホストクラブなど接客を伴う飲食店を通じたものが挙げられる。犯罪収益をキャバクラやホストクラブの売り上げとして計上し、その後、合法的な事業収益のように見せかけるやり方である。

具体的には、架空の顧客を作って、実際には利用されていない高額なサービス料金を売り上げとして計上したり、より直接的には、組織のメンバー自身が「顧客」として店で大金を使ったりすることで、犯罪収益を店の正規の売り上げとする方法である。