「シャワーを浴びたい」で売春に手を染める少女たち
だが、そういった境遇の若者たちが集まっている状況は、悪意のある大人や犯罪グループにとっては、まさに付け入りやすい絶好の環境だとも言える。
事実、トー横キッズを食い物にしている代表的な存在が、トクリュウなのである。先の警察関係者が言う。
「トー横キッズたちに対して、トクリュウとみられる連中が頻繁に接触していることは警察としても把握しています。そのため、トー横キッズたちに対して怪しい連中が声を掛けている場面などが確認されれば、すぐに職務質問に動きます。
ただ、連中もそれはよく分かっているので、自分たちで直接接触するようなことは、ほとんどありません。トー横キッズたちのリーダー格になっているような若い男や、ホストやスカウトを通じて接触を図っているようです。
トー横キッズとして集まっている若者たちは経済的に困窮している場合がほとんどなので、連中はそれを利用して闇バイトに関与させようとします。男であれば、薬物や違法品の運び屋、特殊詐欺の出し子など。女であれば売春です。
残念ながら、シャワーを浴びたいからという理由だけで、売春に行く子もいるのが、彼ら彼女らを取り巻く実情ですから、犯罪グループにとっては男女問わず都合のいい調達先となってしまっています」
「トー横キッズ」を早い者勝ちで集めるトクリュウ
また、歌舞伎町の事情に詳しい暴力団関係者が明かす。
「トー横エリアの路上については、現状どこか特定の組のシマにはなっていません。そこにいる若者たちも流動的なので、仕切ることもなかなか難しい。
なので、いろんな組が若い半グレやスカウトなんかを使って、個別にキッズたちに声を掛けていて、どの子を掴まえられるかは早いもの勝ちになっています。
クスリや売春だけでなく、闇バイトに手を出している子たちも多く、ヤクザや半グレが主導するトクリュウの末端として使われている面は多分にあります」
トー横キッズに限らず、こういった若者たちの抱える問題を解決するためには、まずは若者たちが安全に過ごせる環境を整備することが不可欠だ。ありきたりだが、特に未成年においては、家庭内での問題を早期に発見するための仕組み作りと、児童相談所などの福祉機関を通じた支援の強化を地道に続けていくしかない。