一方、山口百恵が最後に『ザ・ベストテン』に出演したのが、9月25日だった。10位の「さよならの向う側」で同番組では、たった一度の共演だった。
「青い珊瑚礁」はこの日、1位を獲得している。トップ女性ソロシンガーのバトンタッチだった。
歌謡曲という範疇や概念をガラリと変えた松田聖子
聖子の特筆すべきは、80年代の到来をそのままにしたようなキラキラ感である。パンチの効いた声と歌唱もそれまでのアイドルとはまるで違っていた。
楽曲提供する作家陣も豪華で、次々に“絶対に売れる”楽曲を受け取った。バンドアレンジと演奏も完璧でカッコイイ。日本語でなかったらまるで洋楽であり、歌謡曲という範疇や概念をガラリと変えた。
商品こそ異なるが、友和と百恵同様江崎グリコのCMで、田原俊彦と共演している。今見ると恥ずかしいほど初々しい2人は、昭和後期世代に百恵・友和の道を歩むのかと予感をさせたが、これは皮肉な共演になったと言わざるを得ずだ。
1980年を境に昭和はフェーズを変えた
それにしてもだ。
このCMで爽やかに、ハッとしてグッときて、アーモンドチョコレートをかじっている裏で、「TECHNOPOLIS」「RIDEONTIME」がパッケージされたカセットテープのCMがそれぞれ流れていたのだ。
80年代の幕開け後も、ブラウン管のパワーは増すばかりだった。
百恵と聖子にまるで透けて見えてくる。昭和はやはり80年を境にフェーズを変えたのだ。
百恵は昭和34年生まれのセンス確立世代の末っ子で、聖子は昭和37年生まれで昭和後期世代のほぼ長女である。
ああ、いとおかし。
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