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ここで、女郎はどうするのか。上客や将来を期待できる客なら、早々に部屋に戻りますが、馴染み客で、宴会抜きでどうしても会いたいという客が来ていたら、待たせたその客の床へ行き、その後、先ほどの客の床へ戻るという女郎もいるし、反対にまずは宴会をしてくれた客の床へ行き、客が寝入ったら、待たせた客の床へいく。まあ、よくあることのようです。
自分の専用の部屋を持っていない女郎は、空いている小部屋の廻し部屋、反対に広い部屋に屏風で区割りして布団を敷いた「割床」へそれぞれ客を案内します。
夜八ツ(午前2時)
こうして、夜は更け、「草木も眠る丑三(うしみ)つ時」ともいわれる八ツ過ぎには、それぞれの部屋もやっと静かになり、微かに聞こえるのは夜回りの「火の用心」の声だけです。
山田 順子(やまだ・じゅんこ)
時代考証家
1953年広島県生まれ。専修大学文学部人文学科卒業。CMディレクター、放送作家を経て時代考証家となる。ドラマ「JINー仁一」「天皇の料理番」「この世界の片隅に」など、江戸時代から昭和まで、幅広い時代の時代考証や所作指導を担当。著書に『江戸グルメ誕生』(講談社)、『お江戸八百八町三百六十五日』『海賊がつくった日本史』(ともに実業之日本社)、『時代考証家のきもの指南』(徳間書店)など多数。2025年大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺〜」(NHK)では吉原風俗考証を担当。
時代考証家
1953年広島県生まれ。専修大学文学部人文学科卒業。CMディレクター、放送作家を経て時代考証家となる。ドラマ「JINー仁一」「天皇の料理番」「この世界の片隅に」など、江戸時代から昭和まで、幅広い時代の時代考証や所作指導を担当。著書に『江戸グルメ誕生』(講談社)、『お江戸八百八町三百六十五日』『海賊がつくった日本史』(ともに実業之日本社)、『時代考証家のきもの指南』(徳間書店)など多数。2025年大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺〜」(NHK)では吉原風俗考証を担当。
