「リーダーに相応しい人」として必ず名前が挙がるのが田中角栄元首相(1918〜1993)。尋常高等小学校卒という異例の学歴で、47歳で自民党幹事長、54歳で首相に登り詰め、日中国交正常化を実現した。そんな彼を23年間秘書として支え、長く政治を見てきた朝賀昭(あさかあきら)氏が明かす、田中角栄の素顔とは。
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朝賀昭が見た田中角栄(キング・オブ・政治家)
スポーツの世界でたとえると、オヤジは「キング・オブ・アスリート」と呼ばれる、十種競技のチャンピオンでしょう。演説力、リーダー力、政策立案力など、政治家に必要なあらゆる素養を兼ね備えた人でした。
その一丁目一番地にあたるのが「愛と情念」です。
何といっても、故郷・新潟への愛。暮らしに困った地元の人が陳情に来ると、「ああ、君はあの川の脇の、雑貨屋の孫か!」などと言って歓迎する。大豪雪地帯で暮らす人々の生活を、一番に優先するのが、オヤジの政治家としての原点でした。
秘書への情も深かった。深夜国会が続く時期には、「ほら、君が居たってやることないから、もう早く帰れ!」と、お母さん秘書を先に帰らせていました。子どもが家で待っていることを、ちゃんと覚えているんですね。そうした細かいところに、物凄く気配りや思いやりがある方なんです。



