台湾有事が起きた場合、日本にも甚大な影響が及ぶことが見込まれる。しかし、ジョージ・ソロスを大儲けさせたことで知られる〝伝説のコンサル〟齋藤ジン氏は、「日本復活」の大きなチャンスであるという。

 

斎藤氏とジャーナリスト・池上彰氏の対談「日本復活のチャンスが来た」から一部紹介します。

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高まる台湾有事のリスク

 池上 中国の今後について聞かせてください。齋藤さんは『世界秩序が変わるとき』(文春新書)で中国はアメリカに絶対に勝てない、アメリカに代わって覇権国になることはない、と書いています。

 齋藤 覇権国家に対して新興国がチャレンジする場合、解決方法は三つしかありません。

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齋藤ジン氏(左)と池上彰氏 ©文藝春秋

 一つは、大日本帝国の真珠湾攻撃のように「戦争する」。二つめは、第一次世界大戦後に大英帝国がアメリカへ覇権を移譲したように「覇権国家がその座を譲る」、もしくは1980年代から90年代の日本がアメリカにしたように「新興国が自ら降りる」。三つめは「冷戦」です。いまの米中関係は冷戦状態ですが、習近平の中国はアメリカに跪(ひざまず)かず、アメリカは覇権を中国に譲らない。そう考えていくと、戦争のリスクが高まっていると言わざるをえません。

 池上 中国は不動産バブルが崩壊し、若年失業率が2023年6月には過去最高水準の21.3%に達しました。

池上彰氏 Ⓒ文藝春秋

 齋藤 若い失業者が毎年数百万人も出ている。これだけの若者を吸収することができるのは、軍や戦争しかない。詳しくは私の著書を読んでいただければと思いますが、私のリサーチと分析からは、どうにもこれから中国が勝つ絵は描けませんでした。でも、それゆえに中国は台湾などで一発逆転を狙う可能性がある。

 池上 トランプ氏は、台湾有事への対応を聞かれて「何もコメントしない」と述べています。アメリカと中国やロシアの間には、ゼレンスキー氏が言うところの「大きな、きれいな海」がありますからね。