日本復活の絶好のチャンス

 齋藤 結局、アメリカは自分たちには関係ないと思っている。しかし、日本は台湾有事が起きたら巻き込まれるし、中国はお隣さんだから仲良くやっていきたい。日本は今、非常に難しい局面に立たされています。

 しかし、同時に中国を封じ込め、叩き潰すのが、アメリカの譲れない政策であれば、東アジアでアメリカを助ける役割を果たせるのは、日本をおいてほかにありません。そのことこそが、私が日本復活の絶好のチャンスが到来すると考える最大の理由です。

齋藤ジン氏 Ⓒ文藝春秋

 戦後、アメリカは冷戦で東側陣営に対抗するために軍事的にも経済的にも日本に手厚い支援をしてくれました。日本はそのおかげで目覚ましい経済復興を遂げた。その時代と似たことが今、起きつつあるのです。

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 TSMCの巨大な半導体工場が日本に続々と作られているのは、まさにすでに来ているチャンスです。日本がそのような立ち位置にいるのであれば、日本はアメリカと一緒においしいところを取りに行ったほうがいい。それが私の考えです。

 池上 齋藤さんは著書で明治維新、戦後復興期以来のチャンスだと。

 齋藤 1980年代から90年代にかけて、新自由主義が世界を覆っていったとき、日本はひとり負けとなりました。再びゲームチェンジが起きれば、新しい勝者と敗者が生まれます。これから起こる変化は、黒船来航の後に起きたことに匹敵するでしょう。黒船が来て、徳川の世が終わり、世の中がひっくり返って、次の時代を切り拓く坂本龍馬や岩崎弥太郎が出てきた。ですから、今は目の前の現実を従来の見方や前提に捕らわれず新鮮な目で見つめなおすことが重要です。

※本記事の全文(約10000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年5月号に掲載されています(齋藤ジン×池上彰「日本復活のチャンスが来た」)。全文では下記の内容をお読みいただけます。

・MAGA派とマスクの同床異夢
・無茶な関税はレバレッジ
・日本はスネ夫になれ
・チャンスを掴んでいた岸田首相

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