その学校の「らしさ」がひとめでわかる「校風マトリクス」を公開
私立の特性として、「文化・校風」に特色があることがあげられます。国公立の中学・高校はトップである校長を始め、先生方は公務員であり数年で異動となるので文化は根付きにくいと思います。しかし私立は、良くも悪くも何十年と先生が変わらないため、文化が形成されて校風ができていきます。この校風が、お子さんに合う、合わないで、子どもの成長にとって貴重な6年間を楽しく有意義に過ごせるのか、能力を大きく伸ばせるのかが変わってきます。直接、学園祭や説明会に足を運んで、それを体感できればいいのですが、足を運べる学校にも限界があります。
そこで、今回、私はあらゆる学校に精通している私立中高一貫校情報誌「SCHOOL」編集長の吉田玲唲氏や長年に渡り中学受験業界に携わってきた諸先生方のご協力のもと、首都圏と関西圏の私立中高一貫校の文化や校風がひとめで分かるマトリクスを作成しました。なお、私立には、男子校・女子校・共学校・大学附属校などのカテゴリがありますので、それぞれのカテゴリ別にマトリクスを作成しています。ここでは、「男子校」カテゴリのマトリクスを例にとって、解説していきましょう。
学校名の後についている( )は四谷大塚の2018年入試用の合格可能性80%判定偏差値です(2017年第6回合不合判定テスト)。複数のコースや受験日がある学校は、一般的なコースでの最も低い偏差値を採用しています。数字がないところは、ここで偏差値が開示されていない学校です。
自主性の強い子か管理で伸びる子か、相性が大事
このマトリクスは、多感な第二次性徴期において重要と思われる「管理↔自主性」を横軸、「革新・体験↔保守・知識」を縦軸にとり、首都圏や関西の中高一貫の男子校をプロットしています。
「管理↔自主」の軸は、「学校が勉強や生活面を管理する傾向が強い」か「生徒の自主性を重んじる傾向が強い」かです。また「革新・体験↔保守・知識」の軸は、「学校が革新的で、生徒に様々な体験の機会を与える傾向が強い」か、「従来の日本社会に則り、体験よりも知識教育を重視する傾向が強い」かということです。横軸はわかりやすいと思いますが、縦軸に関しては「勉強もさせるが色々な体験もさせる」という学校(難関校以上に多い)もありますので、「さまざまな体験の機会がどれほどあるか」を他校と比べて相対的に判断しています。
縦軸も横軸も、“どちらに寄っているほうが良い”というものではありません。自由にさせておくと伸びる子、どこまでも緩み切ってしまう子、管理されることによってコツコツ頑張れる子、反発してやる気をなくす子、色々なことに興味を持つ子、萎縮する子、知識欲がある子、勉強があまり好きでない子――本当に様々ですから、お子さんとの相性を見極めていただければと思います。