好きなアナウンサーランキングではいつも上位

 一方で「アナウンサーはこうあるべき」と型に囚われていたのを解き放ってくれたのが、人気番組『ホンマでっか!?TV』で共演した明石家さんまである。入社2年目で出演を始めた当初、話を振られても、ありきたりの返答しかできなかった加藤に、さんまは「なんやねん、おまえ、いつもカッコつけやがって」とツッコミを入れた。そこで彼女は、場合によってはあえて素の自分を出すことで盛り上げ役になることを覚えたという。

アナウンサー仲間と明石家さんまの誕生日会を開いたことも(加藤綾子のインスタグラムより)

『ホンマでっか!?TV』と前後して入社1年目より早朝4時からの生番組『めざにゅ~』に出演を始めた。2010年4月にはそのあとの時間帯の帯番組『めざましテレビ』のキャスターに起用され、すっかり同局の朝の顔となる。

『めざましテレビ』のキャスター時代の2011年に東日本大震災が発生してからは、毎週末に被災地へ通って取材を行った。このほか、『ホンマでっか~』などのレギュラーや単発での収録もあり、朝から晩まで仕事に追われる生活が退社まぎわまで続くことになる。当時からアナウンス能力の高さには定評があり、好きなアナウンサーのランキングではいつも上位に入るほどの人気を誇った。このときには彼女は名実ともに「スーパー綾子」となっていたといえる。

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朝から晩まで仕事に追われ、番組収録中に倒れたことも

 だが、加藤も生身の人間である。働きづめの生活は心身への負担も大きかった。2014年には『めざましテレビ』の生放送中に倒れ、急遽スタジオを退出、翌日も番組を休んでいる。それ以前にも『ホンマでっか~』の収録中に倒れたことがあった。たびたびの事態に、いまのまま仕事を続けるのは難しいと感じ、退社を意識するようになったという。

「お台場新大陸2014」の制作発表に登場した(左から)ニュースキャスターの安藤優子、加藤綾子、フジテレビアナウンサーの生野陽子 ©文藝春秋

 フリーに転身直後の対談では、《番組がイヤだとかではないので、担当を外れたいとは言えなかったですね。でもこのままだと、絶対どこかでまた倒れてしまうのは間違いないと思ってました。会社に対しては、自分を育ててくれ、感謝しかないだけに、退社するのは苦しい決断でした……》と明かしている(『週刊文春』2016年6月2日号)。しかし、自分を守れるのは自分しかいないと思い、当時の社長・亀山千広へ直々に退社を伝えたのだった。