「私の人生、終わったな」「思い描いていた未来がなくなった」
――最初の検査で、今思えばそのときの先生の様子が変だったとか、そういうことはありますか。
長藤 最初の検査は経膣エコーだったんですけど、婦人科の診察って、お互いの顔が見えないように間にカーテンがあるじゃないですか。だから先生の表情もわからなくて。
そもそも、卵巣がんは病理にかけないと正確な診断が難しいそうです。ただ、そんな中でも明らかに卵巣が腫れていたことと、通常の人なら腫瘍マーカーの値が4とか5のところ、私は14万という高い数値が出ていたので、「卵巣がんの可能性が高い」という言葉になったそうです。
――告知をどのように受け止めましたか。
長藤 ズーンと悲しいわけでもなく、驚くわけでもなく、何も考えられないというか……たぶん、自分のこととして受け入れられなかったんでしょうね。ただただ、「夢かな?」みたいな、一回時間止まったような感覚でした。
――一緒に告知を聞いたお母さまの反応は?
長藤 私より動揺していましたね。そういう母を前にすると、余計に自分は冷静というか、とにかく状況を把握しなくちゃと思っていました。母に「あなたは本当に強いのね」と帰り道に言われたことを覚えています。
――告知された後は、一人でお家に帰ったのでしょうか。
長藤 当時つき合っていた彼が今の夫なんですけど、その彼に電話をして会いに行って、事実を伝えました。
その時って、付き合ってまだ2週間だったんですよ。だからこの先どうなるかわからない以上、お別れしたほうがいいなと思ったし、「私の人生、終わったな」という思いがすごく強くて。
――がんになったら、仕事も恋愛も難しいと思った?
長藤 その時は、そうでしたね。仕事も一番楽しい時期だったし、フードコーディネーターとしての夢もあったけどそれも失ったと思いました。当時27歳で、あと数年の間に結婚して、近い将来子どもも持つのかなってぼんやり思い描いていた未来も、「あ、今、全部なくなった」と思ったんです。
撮影=細田忠/文藝春秋

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