「こんな人生にしたのは、あのクソババアのせい」「あの世でぶっ殺してやる」
「自分でも思うけど、クズな人生だった。でも、こんな人生にしたのは、あのクソババアのせいなんだよ。何もかも、全部あのクソババアがいけねえんだ。あの世で会ったら、絶対にぶっ殺してやるって誓ってるんだ」
ババアとは、未知の母親のことらしかった。なぜ、そこまで血のつながった母親を憎むのか。それは7人の暴力団構成員との間に子供をつくったことと関係があるのか。
彼女の話に耳を傾けることにした──。
16歳の風俗嬢とヤクザが不倫した末、未知は産まれた
未知は、千葉県の病院で生を受けた。まず、その経緯からして壮絶だった。
出産当時、母親の紹子(しょうこ)は、当時16歳の風俗嬢だった。幼い頃から素行に問題があり、小学生の頃から喧嘩、万引き、恐喝をくり返し、15歳で女子少年院に送致されたそうだ。1年ほどして出院した後は、年齢を偽ってソープランドに勤務。
このソープランドに常連客として来ていたのが、指定暴力団住吉会の構成員の南田敏夫(としお)だった。彼は住吉会のフロント企業として不動産業を営んでおり、地上げや競売といったビジネスにかかわっていた。
敏夫は家庭を持っていたが、紹子を気に入り、やがて店の外でも会うようになる。2人は覚醒剤を打ちながらセックス三昧の日々を送っていたらしい。間もなく紹子は妊娠に気がつくが、その時には人工中絶できない時期になっていた。彼女は仕方なく出産することにする。
敏夫はそれを聞いて言った。
「産むしかないならそうすればいい。ただし、俺は妻と離婚しないし、子供も育てないぞ。養育費として4000万円やるから、自分で何とかしろ」
紹子は4000万円をもらい、未婚のまま娘を産んだ。これが未知だった。