レイプされた未知は「暴力団の寮」に転がり込んだ
長男も長男で、父親が不倫でつくった子供に鬱屈した思いを抱いていたにちがいない。それが警察の一件によって爆発したのだ。
彼は、殴られて足腰が立たなくなった未知に覆いかぶさり、着ていた服を無理やり脱がして、レイプに及んだ。未知は天井を見つめてされるがままになりながら、「もう、この家には住めないんだな」と考えていたという。
レイプが終わった後、未知は痛む体を引きずりながら、家を出た。頼ったのは、親しくしていた不良仲間たちだった。だが、中学生だった彼らには、彼女の衣食住を保障するだけの力がない。
仲間内で話し合って出した結論が、地元の先輩で、稲川会の構成員となっている男に相談することだった。構成員に会いに行くと、未知は藁にもすがる気持ちで事情を話した。彼はしばらく考えてから言った。
「俺は今、部屋住み専用のマンションで生活してるんだ。他にも何人か若い衆がいる。そこでいいなら、住まわせてやるぞ」
暴力団に入ると、新人は部屋住みといって事務所や親分の家で暮らしながら、雑務や警備といった下働きをする。ただ、事務所や家が広くない場合は、マンションの一室を寮として借りて、そこで寝起きすることがあるのだ。
「わかりました。そこに住まわせてください」
行き場所がない未知には、他に選択肢がなかった。