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サメは人間を“食料”とみなして積極的に襲っていたのでは?
そもそもサメという生物は“人食いザメ”と称される種類であっても、積極的に人を襲うことは滅多にない。
この論文の著者である矢野も、
〈実際にはほとんどのサメ類は人間にまったく危害を加えない無害な生き物であり、水中生活に適応した素晴らしい生き物であることはあまり知られていない〉
〈サメ類による人的被害の発生は非常にわずかであることも頭に入れておく必要がある。また、危険なサメ類の種類も少なく、仮にサメに遭遇した場合でも事故につながらない場合の方が多い〉
と何度も強調している。
ごく稀に人がサメに襲われるのは、サメがエサとしているアザラシ類と誤認されたケースがほとんどだ。例えば、サーフボードに腹ばいになって沖に向かってパドリングをしているサーファーのシルエットは、下から見るとアザラシに似ているという。
だが、この日間賀島における連続襲撃の記録からは、そういう偶発的な不幸では片付けられない“禍々しいもの”が漂っているように思えた。端的にいえば、私はこう考えた。
「この日間賀島のサメは――単独犯か、複数犯かは不明だが――人間を明確に“食料”とみなして積極的に襲っていたのではないか?」
75年以上前の事故を検証することは不可能に近いが、もう少し詳しい情報(被害があった正確な日時、被害者のプロフィール、被害の状況など)が知りたかった。
