「人より早く電池が切れちゃう」霧華さんが患ったバセドウ病の症状とは?
――当事者ゆえに、周りの人を見てバセドウ病だとわかることも?
霧華 バセドウ病だからといって、必ずしも目に症状が出るわけではありません。でも、たまに人の目を見て「もしかして同じ病気かな?」と感じることがあります。
バセドウ病は、甲状腺ホルモンが必要以上にたくさん作られてしまう免疫疾患です。その影響で目の奥が腫れてしまい、目が前に押し出されたように見えることがあるんですね。
それと、代謝が活発になり過ぎてしまうので、心拍数も高くなりやすいです。私はいつも脈が100以上あって、少し運動するだけで200近くまで上がってしまって。
――それはかなり苦しいのでは。
霧華 だから疲れやすいですね。人より早く電池が切れちゃう感じで、すぐ眠くなっちゃうんです。
知り合いの人はちょっと動悸がするぐらいの初期段階で検査して気づけたそうなので、私の時と違ってここ数年でだいぶ、病気に対する理解度も上がっているかもしれません。
「目を引っ込める手術」を含め、2年間で5、6回手術を受けた
――バセドウ病が判明してからはどんな治療を?
霧華 とりあえず目を引っ込める手術をするために、服薬で進行を止めようというところから始まって。その薬を飲むと献血もできないと聞いて、それはちょっと驚いたんですけど。
――「目を引っ込める手術」というのもかなり怖そうですが。
霧華 さっき話したとおり、甲状腺ホルモンの過剰分泌で目の奥にある脂肪が炎症を起こして腫れている状態だったので、まず、その目の奥の脂肪を切除する手術をしたんです。
すごくざっくり言うと、下まぶたを大きくひっくり返して、その奥にある「眼窩外側壁(がんかがいそくへき)」と呼ばれる骨を削り取り、眼球のスペースを広げるイメージですね。目の奥の脂肪もその時に除去します。
――聞くだけでかなりハードな手術で……。術後すぐ目は見えるようになるんですか。
霧華 見えはするんですけど、ワケがわからない世界というか、もうグチャグチャで。3D眼鏡をかけない状態で見る3D映像の、もっとずれてるバージョンみたいな感じです。術後2~3週間くらいは壁を伝わないと絶対に歩けなかったですね。
見え方だけじゃなく、見た目も、術後2~3ヶ月くらいは黒目があっちこっちに向いている状態で、顔もパンパンに腫れて。
で、その後2年間ぐらい、なんだかんだ手術を繰り返して、5、6回やったと思います。
――そんなに大変な目の手術を何回もやったんですね。
霧華 さっき話した手術は眼窩減圧術(がんかげんあつじゅつ)というものだったんですけど、その他にも、上まぶたを下げる手術もしたんです。バセドウ病眼症って、眼球突出以外にも、まぶたがつり上がってしまうこともあるんですね。
右のまぶたを下げる手術をしたんですけど、それもまた大変で、今度が逆に閉じすぎちゃったんです。