初の紅白は、終わった瞬間に崩れ落ちた
幾田 特に最初の2、3年間はどうしても、YOASOBIの活動で人生が変わっていったので、私もAyaseさんも振り落とされないように、目の前にある課題をこなしていくのに必死でした。だから、なかなかソロのほうに気持ちと時間を向けることが難しかったんですけど、だんだんとペースがつかめてきてからは並行してソロの楽曲の制作をしたり、2023年にはアルバムも……。
阿川 『Sketch』ですね。1曲目に収録された「Answer」という曲は、それこそYOASOBIが忙しかった時期につくった曲だとか。
幾田 そうなんです。初めて紅白歌合戦に出たときの心境を吐露した楽曲なので。YOASOBIとして人前でパフォーマンスすること自体、紅白が初めてのことだったんですね。
阿川 そうか。初めてのテレビ出演が紅白だったのか!?
幾田 パフォーマンスをしている姿を見せるのも初めてで、いろんな「初めて」が詰まった舞台でした。そのとき、何百人というスタッフの方が「夜に駆ける」の4分間のために動いてくださって……経験したことのない大きなプレッシャーがかかって、自分では抱えきれなくなる瞬間がありました。そういうときに書きためていた言葉を「Answer」では詞にしていったんです。それまでは一人でギターを持ってライブハウスで歌っていた人生だったので。
阿川 それだって度胸のいることだとは思うけど。
幾田 いやいや。関わっている全員の思いが自分の喉にかかっていると思ったら、筋肉も萎縮しちゃって。紅白のときはものすごくアガっていました。終わった瞬間に崩れ落ちて、Ayaseさんも私も号泣して。
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