「あのコスプレ、あり得なくない?」更衣室で聞いた気持ちの悪い話の内容

――お話にあった「嫌なこと」とはどんなものなんですか。

鹿乃 まずコスプレの更衣室にいると右から左から気持ちの悪い話がすごく聞こえるんですよ。「◯◯ちゃんのあのコスプレ、あり得なくない? あの写真も加工エグ(笑)」と悪口を言ったと思えば、トイレから戻った〇〇ちゃんに「おかえりー!」みたいなシーンとか。身内で目配せしながら他のコスプレイヤーを見て「あれヤバ」とクスクス笑ったり。それがSNSでも毎日のように繰り広げられています。

 私自身が困らされたこともたくさんあります。コスプレイヤーの子とお泊まり会を予定していたら、インフルエンザを理由に当日ドタキャンされて。ただその子は翌日コンカフェにゲスト出勤していたのでひと言欲しかったと伝えたら、その子が周囲のカメラマンさんに「具合が悪かったのに文句を言われた」と話していたようで、次のイベントからカメラマンさんたちに無視されたこともありました。

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 他にも、私からイベントのチケットを無料で譲ってもらえなかったことに腹を立てた先輩コスプレイヤーが「某マルシルでバズった人はレイヤーの住所をばらして歩くから気をつけてね」と嘘をSNSに書き込んだり、先輩男性コスプレイヤーにありもしないことを次から次に書かれて、警察に相談したこともありました。

コスプレを楽しむ鹿乃つのさん(写真=本人提供/撮影者=@tck_tck)

「いいね稼ぎのためじゃない」コスプレをして万博に行ったワケ

――しかしその後も鹿乃さんはコスプレ活動を続け、そして万博にもマルシルのコスプレで行きます。

鹿乃 もともと関西に旅行に行く予定があったんです。万博についてはSNSで「行ったら楽しかった」という声がある一方、「あれがダメ」という批判も多くて、行くかどうか悩んでいました。

 そんな中、万博がコスプレOKになったという記事を見て、ただの私じゃなくマルシルがいろいろなところに遊びに行ったよ、という写真が撮れるんだったら楽しいし、貴重な体験だなと思って行きました。

 SNSでいいねが稼げるからコスプレで行ったと言われるんですが、それは誤解です。いいねは、私がいい報告をした時に友達が「よかったね」と笑ってくれるような、そういう副産物だと思っています。

 万博の楽しい空気感を伝えることは重視していましたが、撮影も旅行の記念写真を撮るのと同じようにスマホで撮っていて、ライトを立てたりはしていません。