このうち、小牧原駅から歩いて数分ほどの東田中駅はまだまだ駅そのものがちゃんと残っている。
さすがに地上から駅の中に通じる階段は入り口からして封鎖されていて中の様子を見ることはできない。それでも駅そのものはまだまだ形を残している。駅の脇の歩道には、廃止後の転換バス「ピーチバス」の停留所があった。
まあこれが半世紀も前の廃線なら驚き興奮するところだが、廃止されてからは20年足らず、開業からも34年。
東京モノレールなんて60年以上前から走り続けているのだから、ピーチライナーの駅が残っていても驚くほどのことではない。むしろ、34年前に開業した新交通システム路線がもう廃止されて駅舎が廃墟になっている事実のほうが驚くべきことかもしれない。
駅だけがバッサリ消された上末駅跡
東田中駅からさらに高架の下を延々と進むと、上末駅の跡。が、こちらはちょうど駅の部分がバッサリ消えている。
すぐ脇ではどうやら前後の区間の撤去工事もしているようだ。沿道には撤去工事をしているからよろしく、といった内容の看板も置かれていた。34年前の高架だから老朽化どうこうという段階ではないだろう。
が、電車が走らなければ文字通りの無用の長物。いつまでも放置しておくわけにもいかず、こうして段階的に少しずつ撤去が進んでいるようだ。
広がる工場街を抜けていくと…
この北尾張中央道沿い、周辺は小牧原駅までとはうってかわって工業地帯の様相を見せている。北尾張中央道には大きなトラックがバンバン走り、倉庫やら工場やらが沿道にずらり。
中でも三菱重工の工場が一帯の顔役か。ちょうど昼時に訪れたからか、昼休みで工場の外に出てくる従業員の皆さんとすれ違った。彼らもピーチライナーが走っていたら通勤が楽でしょうに……と思ったが、天下の愛知、クルマ社会。きっとマイカー通勤をしているに違いない。
そんな工業地帯を抜けて、消えた上末駅跡を通り過ぎるあたりから、また周囲の様子が変わってくる。上末駅東側には古い集落のような一角があって、そのほかはどちらかというと田園地帯。
もともとは工業地帯エリアも田園地帯だったのだろう。途中で小さな川をいくつか渡ったが、農業用水の類いなのだろうか。


