こうした経験から、今後の抱負として《現実的な目標としては、子どもたちの想い出になることをたくさんやっていきたいと思っています。(中略)子どもたちの想い出に、何か彩りを添えられたら嬉しいという気持ちが強いです》と語るようになる(『人事院月報』2019年12月号)。そもそもこのとき主題歌をうたった『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』も、中川が子供のときに初めて劇場で観て泣いた想い出のある作品『ミュウツーの逆襲』のリメイクだった。

中川翔子『ポケモンが生きる意味を教えてくれた』(小学館/2013年)

水着姿を披露し、YouTubeで1000万回以上再生

 翌年の2020年にはコロナ禍で予定していた仕事がことごとく中止となり、またしても心が潰されかけた。だが、そもそも自分はオタクでインドア派だったと思い出すと、家のなかでこそやることはいっぱいあると気づく。それなら、これまでできなかったことに挑戦しようと思い立ち、YouTubeチャンネルを開設した。手始めにゲーム実況を生配信したところ、夜中にもかかわらず2万人以上が見てくれた。

 YouTubeの開設後、映像で自分の姿を見て「やせなきゃヤバイじゃん」と反省し、ダイエットを始めた。これが功を奏し、2021年8月に久々に水着姿となった動画を公開したところ、年末までに再生回数が1116万と、その年の女性タレントのチャンネルにおける最高記録を出す。このことは翌年、デビューから20周年を記念して久々に写真集を出すことへとつながった。

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YouTubeで水着姿を披露し話題になった動画は2025年5月現在で1400万回再生を突破(YouTubeチャンネル「中川翔子の『ヲ』」より)

バスタブで一糸まとわぬ姿を見せた写真集が大ヒット

 写真集『ミラクルミライ』では、お湯に花を浮かべたバスタブで一糸まとわぬ姿になるなど、若い頃なら絶対にやらなかったことにも挑戦する。それ以前に覚悟を決めたのが、自分にとっては武装であり「パンツを脱ぐよりイヤ」とまで言っていたカラーコンタクトを取って、すっぴんで撮るということだった。そんな彼女の心意気に打たれ、撮影中、スタッフの一人が思いがけず涙をこぼすということもあったとか。

中川翔子デビュー20周年記念写真集『ミラクルミライ』(2022年/講談社)

 写真集を出すと発表するや注文があいつぎ、ネット書店でも1位となった。これに中川は自分もまだまだ大丈夫だと希望を抱いたという。その上で、写真集に収録されたインタビューでは、何歳になっても挑戦はできると、次のように読者にメッセージを贈っている。

《どうしても世の中、もう○歳なんだからという風潮が暗黙でもあるし、それを実際に思ったり、わざわざ口にしたり、SNSに書いたりする人も多い。男性は30代や40代になると“ここから”っていうモードなのに、女性はピークを過ぎたような扱いをされてしまう。遅いなんてことは決してないのに、と歯痒くて……。いくつになっても新しいことはしていいし、年齢は関係ない。(中略)『いくつになっても』とスイッチを入れられる自分でいるためには、もちろん努力は必要。まだまだ新しい発見がこの先にいっぱい待っていると思っていたいし、それは素敵なことだから》(前掲『ミラクルミライ』)