10年経っても付きまとった、自分に関するデマ

――保育の仕事を10年やってみて、どうでしたか。

小阪 当時は、私にとって絶対に必要な仕事だったと思います。

 子どもは私を利用しようとしない。軽く対人恐怖症で人を信用できなくなっていた私には本当に大切な時間でした。保育事業を10年続けてるなかで、国の制度がかわり、保育園の環境も変わり、自分が保育をやることで、誰が救われるのか? など自分の存在意義を考えたりしていました。

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©山元茂樹/文藝春秋

――自分の存在意義……ですか?

小阪 10年の節目ということで、テレビ番組の取材が入ったんですよ。

 集大成を密着してくれるという話だったので、それは嬉しいと喜んでいたら、昔ネット上で広まった私に関する噂が原因で、特集できなくなっちゃったっていう連絡がきて。デマだと言っても、「難しい」と。

 続ければ認めてもらえると思って奮闘してきたけど、結局10年経っても私はデマに振り回されるんだと思った時、「私の10年はなんだったんだ」と……。

 そこで改めて振り返ってみたら、10年は他人を見返すために決めた期間だったというだけで、自分との約束ではなかったなと。

©山元茂樹/文藝春秋

――自分がやりたいことではあったけど、評価軸が他人にあったというか。

小阪 そうなんです。そこで10年の節目で保育事業を一回ストップして、もう一度自分は何をしたいのかを考えた時に、メンタルコーチを含めたタレント育成をする芸能事務所を立ち上げました。

 ちょうど、芸能を目指す子の相談がすごく増えてきたタイミングでもありました。SNSで回ってきた、“お金を払ったら番組に出演できる可能性がある”という詐欺のような話を信じていたり……危なっかしい子があまりにも多くて。