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『秘録』巻末の劇画では、覆面を脱いだタイガーマスクが梶原一騎にこう語るシーンがある。
<タイガーマスクが……私の人生そのものになったのですよ 先生!>
タイガーマスクを『列伝』あるいは『プロレス劇画』に置き換えれば、それは原田さん自身の「心の叫び」でもあったのではないだろうか。
「吾が命 珠の如くに慈しみ 天命尽くば 珠と砕けん……」
昨年11月、新刊に著者サインを入れるため都内へやってきた原田さんは、ふとこんなことを語っていた。
「久しぶりに(梶原一騎の墓がある)護国寺に行ってきました。報告しとかなきゃなって(笑)」
このとき原田さんは、お気に入りだった梶原一騎の「辞世の句」をそらんじて見せた。
「吾が命 珠の如くに慈しみ 天命尽くば 珠と砕けん……」
作家死すとも、作品は死せず。原田さんの「プロレス劇画一代」にいま、惜しみない拍手を送りたい。

