2試合を終えて勝ち点4。ロシアW杯日本代表は、ファンにとっても報道陣にとっても想定以上の好発進。就任わずか2カ月半の西野朗監督が、早くも「名将」と呼ばれてもおかしくない状況だ。初戦コロンビア戦を勝利で終えた時点で「目標」と話していた「2連勝」と「2戦目での1次リーグ突破決定」はならなかったが、それでも西野の言葉は力強い。セネガルに2-2で引き分けた試合後、こう話している。
「ポイントスリー(勝ち点3)に執着して戦い、勝ちきって勝ち点を6にして後を待ちたかった。それは叶わなかったが、3試合目に間違いなく有効な結果。次の試合は、“敗者復活”ではなく、しっかりトップで通過できる可能性のあるゲームだと考えたい」
“敗者復活”というのは、セネガル戦前日会見で「3戦目で突破するなんて敗者復活みたいなもの」と話したことを受けての表現。試合後に報道陣から「2戦目で突破が決まらなかったこと」を指摘されての返答だ。実際2戦目での突破は決まらなかったが、それでも、間違いなく格上相手の2試合でいまだに負けていないというのは、上出来といわずしてなんと言おうか。
しかし、ちょっとヌケている西野監督
しかし、結果こそ出ているが、西野監督は「名将」というにはちょっとヌケているところがある。もちろんよい意味で。例えば、こんなことがあった。
この手のビッグイベントでは記者会見の際、同時通訳機を用いる。この同時通訳機のイヤフォンは片耳用で、耳たぶ上部にひっかけるスタイルが主流。しかし西野監督、これを自分で耳につけることができない。いつも会見の席上で、広報担当者か、同席した選手に手伝ってもらう。コロンビア戦前は長谷部誠が、セネガル戦前は吉田麻也が、装着を手伝った。まるで恒例になっている一つの儀式のように……。そのとき吉田は、半分笑っていた。
西野監督、冗談も言う。しかし、あまりおもしろいとは言えない。たとえばセネガル戦前日の会見、フィジカルが強い相手にどう対応するかという話になったとき、こう話していた。
「(チームの中で小柄な)乾貴士、大島僚太に『5キロ体重を増やして、5センチ身長を伸ばせ』と指示しましたが失敗しました。それ以外のところで対応しなくてはいけない……」
この冗談、ぽつぽつと話す口調のせいか、どうも記者会見場が大爆笑、というほどには笑いは起きない。あまりウケない冗談を言うメンタルの強さには感服するが、名将の堂々たる会見という印象はすこし薄い。