ポジティブなこと以外は口にしない
その一方で極めて強気でもある。冒頭にあげた「3戦目で決めるなんて“敗者復活”みたいなこと」という発言もしかり、ポジティブなこと以外は口にしない。おそらくは選手たちをネガティブな気持ちにさせないという意図もあるのだろう。
また、ちょっとした揶揄を含んだ質問には反論する。大会前のテストマッチ・パラグアイ戦直前、「日本国内ではW杯への関心が薄いがどう思うか」と聞かれ、間髪入れずに「いま初めて残念な報告を聞きました」と答えた。だが、本当に知らないわけではなく、ネガティブな質問を否定したかったのだろう。
そのパラグアイ戦後には何度かシュートを外した乾貴士に「スパイクを調べてみろと言った」とも、冗談めかして語った。また、本大会に向け戦術的に「隠していることもある」と明かしたり、あえて言わなくても良いことを言ってしまう。天然というかなんというか、西野監督の会見のあとは不思議な感触が残る。
女性記者が語る「ダンディ・エピソード」
もちろん各メディアが報じているように、「モテ伝説」や「ダンディ・エピソード」も枚挙にいとまがない。最新のものではたとえば今年5月、宇佐美貴史と原口元気を視察するために西野監督がドイツ・デュッセルドルフにやってきたときのこと。記者たちは探すために二手にわかれ、そのうちの一つにコメント対応した。だが、もう一つの記者陣が目の前に現れると、みずから車を降りて挨拶、「先に別の方に話をしたので共有してください」と頭を下げたのだという。初めて西野監督の人柄に触れた女性記者は、「対応も素敵だったけど、白シャツが似合ってて素敵」と感激していた。
ちょっとヌケていて、天然で、でも猛烈に強気な63歳。そんな西野監督を中心とした団結力も、日本代表快進撃の要因かもしれない。