横領対策に有効な手法とは
どうすれば従業員の横領を防げるのか。監視カメラの設置も有効だが、不正防止対策として注目されているのが「キャッシュレス」の導入だ。
近年、多くの飲食店でキャッシュレス化が進んでいる。飲食店側から見て、キャッシュレス決済にはメリット・デメリットがある。最大のデメリットは売り上げから決済手数料が引かれてしまうこと。もともと利益率の低い飲食店で、さらに手数料として売り上げの数%が引かれてしまうのはインパクトが大きい。これを理由に現金払いにこだわる店も多い。
しかし、それ以上のメリットがある。現金を扱う必要がなくなる。現金にまつわる業務は想像以上に煩雑なもので、その分の人件費などを考えれば手数料を負担してでも十分なメリットになる。キャッシュレスならわざわざ銀行に足を運んで入金する必要もないし、データで管理されるため売り上げの数字とレジに入っている金額が合わないという事態も起こりにくい。最近では現金支払いを受け付けず、完全キャッシュレスの店も増えている。
現金を扱わないことは、横領の“チャンス”を大幅に減らすことにつながる。横領とは基本的にデータに残らない場所で行われるもので、キャッシュレスにより金の流れがデータ化されると、そこに付け入る隙がなくなるのだ。現金管理の煩雑さから解放されたいという以上に「従業員による横領を防ぎたい」という動機でキャッシュレスを導入する飲食店も多い。
当然、横領は行う人間が悪い。が、横領ができる環境をつくり出していることは、経営者の責任とも言えるだろう。ともに働いていた仲間が窃盗犯になってしまうというのは、金を失うこと以上に精神的にも辛いもの。こうした側面からも、飲食店のキャッシュレス化は進んでいる。
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