――2022年に第1子が誕生したということですが、活躍が目覚ましい中での妊娠・出産ということで、プレッシャーや迷いはなかった?

紗世 迷いはありませんでした。ただ、当時は本当にありがたいことに多くのお仕事をいただいていた時期だったので、「自分はいつまで現場に立てるのだろう」と、そのことばかりを考えていました。

 

――お腹が目立ち始めるタイミングまでグラビアの仕事を続けていた?

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紗世 現場で周りの方に気をつかわせたくなかったので、妊娠のことは誰にも伝えずに、体の角度などに気をつけながらギリギリまで撮影を続けていました。

 でも後になって、スタッフの方に「実はちょっとお腹出てるなって思ってたんだよね」って言われて(笑)。

――産後、体形を戻す苦労はなかったですか? 

紗世 体重に関しては、比較的すぐに戻ったんですけど、胸はもう“役目を終えました”って感じで(笑)。以前のようなハリは戻らなかったですね。

不安と向かい合いながら迎えた三つ子の出産

――その2年後に三つ子を出産されます。きょうだいが欲しかった?

紗世 いつかは欲しいなとは思っていましたが、正直、三つ子というのはまったくの想定外でした。

 

 実は少し前に、自分の卵子を凍結していて、その際に使ったお薬の影響かな……なんて、あれこれ考えたりもしましたが、とにかく最初は驚きしかありませんでした。

――三つ子だと聞いたら驚きますよね。

紗世 医師から「心臓が3つ見えます」と言われたときは、嬉しいというよりも、とにかく驚きのほうが大きくて。隣の部屋から他の先生が覗きに来るくらいでしたから、本当に珍しいケースだったんだと思います。

 ただ、その時点では無事に産まれてこられるかどうかもわからない状況だったので、三つ子だということは、生まれるまで身内にも伝えることが出来ませんでした。

――三つ子というだけでハイリスクということで。

紗世 そうなんです。母体にとっても、赤ちゃんたちにとっても非常にリスクが高いと言われていて。検診のたびに、医師から「このまま続けるかどうか」を確認されました。最初に突きつけられたのは、“命の選択”でした。

――それは3人の子のうち誰かを諦めるという意味?

紗世 多胎妊娠は早産のリスクが非常に高いため、「1人、2人を減らす」という選択をする方もいるそうです。

 でも、私の中では誰かを諦めるという選択肢は最初からありませんでした。だからこそ、無事に産まれてきてくれるかどうかがずっと不安で、人に話すこともできず、隠れるように毎日を過ごしていました。