「ごめんなさい。でも、息子も気が進まないと言っておりますし……。しばらくは行けそうにありません」
怒った田中さんは「500万円の借用書を書け」という内容証明郵便を送りつけた。
「夫婦になろうっていう関係なのに、こんなものを書かせるわけ?」
「オレの全財産だったんだ。キミこそ理解してくれ!」
「もう私のこと、お嫌いになったのね……」
それから真知子は音信不通になった。
たまりかねた田中さんは、ついに警察に相談。真知子は詐欺容疑で逮捕された。
「勝手に振り込んできたんです」
警察による家宅捜索で、真知子の口座には他にも5~6人の男性から、不定期に金が振り込まれていることが分かった。
「私からお金を貸して欲しいと頼んだつもりはない。勝手に振り込んできたんです」
そのことを知らされた男性たちは、「自分ひとりだと思っていた。騙された!」と激怒した。
その後、真知子は中西さんに対する詐欺容疑でも再逮捕された。
だが、他の男性たちは「いつから真知子が金を騙し取る意思があったのか」を立証するのが困難で、立件は見送られた。
法廷に現れた真知子は茶髪のセミロング。目鼻立ちが整ったエキゾチックな横顔は、元モデルのたたずまいをしのばせていた。
田中さんと結婚しなかった理由については、「生理的に合わない外見だった」と言い放った。中西さんについては、「アル中で離婚したと聞いて嫌になった」と理由を述べた。
「他の人は自分を応援してくれる親友だと思っていた」(真知子)
むしろ悲惨なのは立件されなかった他の男性たちで、特に3人の男性は数年にわたって1000万円単位の金を騙し取られていた。
検察官:3人からプロポーズされていたのでは?
真知子:いいえ、記憶にないです。
検察官:あなたは「はい、分かりました。私もそのつもりです。でも、今すぐには結婚できません」と答えたのでは?
真知子:結婚の約束はしていない。趣味がすごく合うという話をしました。
検察官:1人の男性からは7~8年にわたって1600万円ぐらいを振り込んでもらっている。どうしてこんな援助をしたのだと思いますか?
真知子:私が母子家庭で頑張っているから、応援してくれたんだと思う。
検察官:彼はあまりお金持ちじゃないですよね?