「ネットのコメントを思い出す時、どうやって乗り越えればいいのか…」

 この“アンコール問題”が浮上してから1ヶ月ほどが経過したのち、モカは韓国のバラエティ番組『知ってるお兄さん』に出演した。ゲストで呼ばれた若い芸能人たちが「わざと年上レギュラー出演陣にもタメ口」になり、率直な気持ちを話す。そうすることで新しい表情を引き出そうとするコンセプトだ。ここでモカは、韓国語で苦しい心情を吐露した。

「(ネット上の)コメントに傷つく方ではないけど、 ステージに立った時、そのコメントを思い出す時がある。そんな時、どうやって乗り越えればいいのか分からない」

 

「最初は期待感をもって韓国に来た。だけど来てみたら韓国語も出来ないし、周りの友達はかわいくて、(歌やダンスも)上手くて、怖かった。元々のMBTI(性格診断)はE(外向的)だったんだけど、I(内向的)に変わっちゃった」

ILLITジャパンオフィシャルサイトより

「実力不足問題」を払拭しつつある

 そういった厳しい声の陰で、モカを含めたグループが積み重ねた努力は実ろうとしている。「もうすでに実力不足問題は払拭しつつある」。韓国ではそういった声もある。2024年10月にリリースした『Cherish(My Love)』のライブパフォーマンスが高い評価を得たのだ。現地メディア「エクスポーツニュース」はこんな記事を掲載している。    

「『歌唱力論争』って何のこと?…… ILLITのライブが口コミが広がる

 

 ……ILLITの新曲『Cherish (My Love)』のライブ映像が様々なオンラインコミュニティやチャンネルで話題となり、歌唱力に対する好評が続いている。(略)(実力不足に関する)論争は今回できれいに消え去った。メンバーたちは声がはっきり聞こえるライブステージを通じて、実力のさらなる成長を証明した。

 

 彼女たちは以前よりも一層自信に満ちた表情と歌唱へのアティチュード(姿勢)で注目を集めた。メンバーそれぞれの声の個性や音色で個性を見せながら新しい魅力でアプローチし、安定した歌声のシナジーも人々の心を掴むのに十分だった」(「エクスポーツニュース」2024年10月23日配信)

 さらにモカは、その後、より前向きに進んでいく姿勢を口にしている。2025年3月にデビュー1周年を記念して行われた現地メディア「BreakNews」のインタビューでは、こんな質問が飛び出した。    

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「成長するために自分なりに最も努力し、気を遣っている部分は?」    

 メンバーたちがそれぞれの思いを話すなか、モカはこう答えている。    

「舞台で緊張せずに100%を見せようと努力しています。緊張すると普段はしないミスもしてしまうので、体が覚えるように完璧に習得しようとしています。日が経つにつれて、より練習量を増やしています」  

イロハ(左)とモカ(ILLITのXより)

 そういったモカの端々からは、彼女の「活発でオープンな面がありつつ、繊細さも持ち合わせている」という一面がうかがえる。本人も2023年当時の事務所公式YouTubeチャンネルで自らを「小心者」と言っているように、「弱さ」もさらけ出せるのは彼女がオープンマインドたるゆえんか。批判も受け止めながら、ひたむきに努力し続ける彼女の魅力が、これから韓国でもより広く伝わっていくのではないだろうか。

 では、もう一人の日本人メンバー・イロハは韓国でどう見られているのか?

次の記事に続く 「言葉が全く分からなかった」スカウト→11歳で両親と離れ韓国へ…ILLIT日本人メンバー・イロハ(17)が韓国で抱えていた“葛藤”《現地記者が解説》

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