少し補足すると、ショーケースでの厳しい質問はある意味、K-POPアイドルとしての登竜門とも言われている。なぜなら、個別インタビューでは事務所側から「事前に質問内容をまとめて送ってほしい」とリクエストがある場合も多いが、ショーケースは台本がないためだ。
しかも近年は「メディアの数が増え、個別インタビューの機会がめっきり減った」(現地スポーツ紙芸能担当記者)ため、ここぞとばかりにきつい質問も投げられる。例えば、以前筆者が取材したあるグループのショーケースでは、日本人メンバーに対して複数の記者が何度も日韓関係のことを聞く場面も目にした。
「ボーカルもパフォーマンスも全部上手くやりたい」
また彼女は、2025年3月にもデビュー1周年記念インタビュー(韓国メディア「BreakNews」)で似た趣旨の発言をしている。
――成長するために自分なりに最も努力し、気を遣っている部分は?
イロハ ボーカルもパフォーマンスも全部うまくやりたいです。ライブステージでも、表情まで自然に魅せるために、足りない部分をキャッチして自分で満足するまで最後まで練習するスタイルです。
やはり「努力し続ける、強いマインドで挑み続ける」「練習あるのみ」という内容だった。イロハのストイックなメンタリティが改めて感じられる発言だ。
ダンスだけでなく、ボーカルや表情管理への意欲も魅せるイロハ。まだ10代の彼女がこれからどれほど成長していくのか、韓国でもそういった視点で見られていくだろう。
「NewJeansを盗作している」事務所の“お家騒動”に巻き込まれ……
そしてもうひとつ、ILLITを語るうえで避けては通れない問題がある。今回の取材を通じて話を聞いたテレビ局の芸能担当記者に「ILLITは韓国でどう見られていますか?」と聞いたら、まず挙がったのはこういった意見だった。
「2024年4月に起こった、いわゆる『HYBE vs.ミン・ヒジン騒動』の影響は大きかった。ILLITと同じHYBEの傘下に所属していたグループ『NewJeans』プロデューサーのミン・ヒジン氏が記者会見を開き、自身への背任容疑に反論する中で『HYBEの契約や販売方法に問題がある』と告発。
その中で『ILLITはNewJeansのスタイル、振り付けなどを盗作している』と主張し、ILLITの韓国内でのイメージが悪くなったことがありました」

