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「タクシードライバーになりたい」と言い残し、章男氏は旅立った
章男さんの提案で、ネッツの若手経営者たちが、モータースポーツを広めるために、富士スピードウェイを借り切ってイベントを行ったとき、章男さんの運転する「ヤリス」に乗せてもらったことがある。たしかに運転がうまい。そのハンドルさばきに感動したことを、今も鮮明に覚えている。
感動したのは、その運転だけではない。私たちが帰る際、章男さんは全員部屋を出るまで見送ってくれた。この丁寧な対応にも、とても感激したものだった。
2008年、「iQ」というマイクロカーが発売されたときのことである。私たちは、その開発責任者である中嶋裕樹さんを招いて、名古屋モード学園で発表会とファッションショーを兼ねたイベントを開催した。
そのVTRを章男さんにお見せしたところ、「悪くないけど、もっと右脳を使うといいね!」というアドバイスまでいただいたことがある。たしかに章男さんは右脳を使う方で、アイデアも斬新だった。タイヤの廃材を使ったメッシュのバッグを開発したことは、とても新鮮でカッコいいと思ったものだ。
章男さんは大学卒業後渡米するとき、父である章一郎氏に「タクシードライバーになりたい」と言って旅立ったという。その冒険的というか、やんちゃな面の片鱗を、章男氏のさまざまな言動から感じたものだ。
