「章男氏がレースで負けた」会社へ、執拗に監査を入れるように
トヨタ自動車のメディア展開も章男さんが変えていった。ご自身も、「LEON」などさまざまな雑誌に登場。イチローさんをゲストにお招きしてトークショーをする、オウンドメディア「トヨタイムズ」を始める、レクサスのショールームを青山に作るなど、かなりアクティブだ。章男さんが「トヨタ」のイメージを変えていったことは間違いない。
ただ、時が経つにつれて、徐々に章男さんの変化を感じるようになった。
代表者会議のとき、章男さんが着ていたスーツを私がお褒めしたことがある。スーツのよさというのは、肩のラインで決まる。私が「章男社長、スーツ、肩のところ決まって格好いいですね」と言うと、章男さんは「そうだよ、コーディネーターがついてるから」と返答された。
ほんとうに些細なことかもしれない。しかし、私はその時何かを感じた。実はその数年前、劇団四季の名古屋公演で、私が妻と観劇に行った際、章男さんもいらしていた。私がその時着ていた赤のジャケットを、「それ、かっこいいね!」と言ってくださった。そのことを覚えていたので、代表者会議のときも声をかけたのだが……「そうだよ」という言葉に何かを感じた。
また、マス媒体でも取り上げられている件だが、ドライバーとして出場したある販売会社の社長が、章男さんの進行をじゃまするような形で勝ってしまったという。すると、その後トヨタ自動車は、ことあるごとに何かあればその会社に監査を入れるようになった。これは章男さんが、というよりひょっとして取り巻きの人間が「忖度」しているのかもしれないが……。