――周りの人からは心配されたのでは?

吉野 実家のものを食べ漁っていたときはさすがに両親もおかしいと思ったみたいで、「食べすぎじゃない?」と声をかけてくれました。でもすぐに、家族の前では普通にして自分で買ったものを隠れて食べるようになりました。

 お腹は空いていないのに、むしろ苦しいのに食べないと不安になる。何かを食べている瞬間だけ、その不安から少し解放されるんです。でも、食べた後は自己嫌悪がすごくて……。

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過食に悩んでいた頃の吉野さん

医師に事情を話したら「まずはその彼氏と別れなさい」と

――精神的にかなり追い詰められている感じがします。

吉野 さすがにおかしいと思って病院へ行ったんですが、医師に事情を話したら「まずはその彼氏と別れなさい」と言われて。当時の私は「我慢できない私が悪い」と思っていたので「なんで関係ない彼のことを言うんだろう?」と医師の言葉が理解できませんでした。それで結局、病院にも行かなくなってしまいましたね。

――その男性とはその後も交際が続いたんですか?

吉野 付き合って2年くらい経った頃にやっと彼の言動のおかしさに気づいて、別れることができました。

――どんなきっかけがあったのでしょう。

吉野 当時働いていた職場の先輩たちと温泉旅行に行ったんです。「私のすっぴんはブスだから」と思って、頑なにメイクを落とさなかったんですが、先輩から「なんでメイクしたままなの?」と不思議がられたので仕方なく落としたんです。そしたら「すっぴんかわいいじゃん」と言われて。

 

――あれ、と。

吉野 付き合っていた彼はすごく年上だし、大きな会社で責任あるポジションにもついていました。一方の私はまだ20歳そこそこで「彼の言うことは全部あっている」と思っていました。そんな彼が「デブ」「ブス」と言うのも「デブでブスな私が悪いんだ」と疑いもしなかったんです。

 でも温泉旅行をきっかけに「もしかして、彼の言うことが全てじゃないのかも?」と思うようになったんです。