――痩せるためにダイエットをするのもアリですか?

吉野 もちろんアリです。それは個人の選択だと思います。でも「とにかく体重を減らせばいいんだ」と、ダイエットのやり方を間違っている人も多いですし、「痩せなきゃ価値がない」「太っている人は醜い」という考え方は違うと思うんです。

――どうしてそこまで追い詰められてしまうんでしょう。

ADVERTISEMENT

吉野 日本は「ファットフォビア」、つまり肥満嫌悪という考えが根強いですよね。太っている人を見てあからさまに嫌な顔をする人もいますし、「自己管理ができない人」とレッテルを貼られることもあります。

 

 ただこれって実は痩せてる人も同じで、「ガリガリ」「もっと食べたほうがいい」と言われて苦しむ人もいます。結局、他人の体型に気軽に口出ししていいんだ、という状況をどうにかする必要があるんだと思います。

「『痩せたら幸せになれる』と信じていたけど、実際にはむしろ苦しくなりました」

――最近は、若年層の「痩せすぎ」もよく話題になります。

吉野 最近の調査で、小学1年生の女の子の3割が「痩せたい」と思っているという結果が出たそうです。まだ6歳~7歳の子どもがそこまで体型を気にしている。

 しかも最近は、SNSの影響で体型以外にも「美の基準」がどんどん細かくなっています。私の頃はせいぜい「痩せてて目が大きくて小顔」くらいでしたが、今は「中顔面の長さがどう」とか「人中の長さ」とか、もっと細かい基準がたくさんある。そんな中で育つ子どもたちは、本当に息苦しいと思います。

――吉野さんは、2024年4月に『la farfa』を卒業されてから、摂食障害やボディポジティブに関する発信に力を入れていますよね。

吉野 今私が伝えたいのは「自分を認めること」「自分を大切にすること」の重要性です。それは体型に関係なく、すべての人に必要なこと。今はフリーランスとして、執筆活動やメディア出演、ポッドキャスト、そして個人セッションを中心に活動しています。

――「自分を認める」ということ、もう少し詳しく教えていただけますか?

30kg以上の過酷なダイエットをして47kgになった吉野さんの体調は最悪だった

吉野 結局のところ、自分を否定し続けても何も良いことはないんですよね。私は「痩せたら幸せになれる」と10年以上信じていました。でも実際には痩せても幸せになれず、むしろもっと苦しくなりました。だから問題は体型じゃないんです。

 自分を認めるって、「今の自分で完璧」っていうことではありません。欠点があってもいい、失敗してもいい、そんな自分も含めて「これが私なんだ」と受け入れることだと今は思ってます。