夫婦の在り方は子ども次第

――マサイ族は一夫多妻制だそうですが、ジェームスさんが第2夫人をとることもあるのでしょうか。

鶴本 よく聞かれるんですけど、「2人目は要らない」と彼は言ってます。

 でも、もし私が子どもを生めない場合は、話が違ってくるかなって。

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――マサイ族としては、子どもは絶対?

鶴本 マサイは子孫繁栄を大事にしているので、もし子どもができなかった場合には、考えが変わる可能性はなくはないなとは思います。

女の子でも選択肢がある人生にしてあげたい

――お子さんはマサイの子として育てたい?

鶴本 それで彼とケンカしたことがあるんですけど、私は、女の子だったら選択肢がある人生にしてあげたいっていうのは思っていて。

 マサイ村の場合、女の子は早い子だと17歳くらいで嫁いでしまうんですが、私自身も海外生活や仕事の楽しさを感じてきたので、子どもも同じように、自分のやりたいことを実現してほしいんです。

村に鏡はなく、初めて自分の顔を見たのは20歳前後だったジェームスさん

 その一方で、マサイ語も学んでほしいし、文化を引き継いでほしい思いもあって。彼は基本的にマサイの子として育てたいと言っているので、今後、話し合いが必要だなとは思います。

将来への不安は?

――悩みがほとんどないというお話を前回もされていましたが、ジェームスさんは今、将来への不安はないですか?

鶴本 「手も足も目もあるのに、なんで不安になるんだ」って言ってます。「もし手も足も目も全部なくなったらちょっとは悩むかもしれないけど、今すべてあるから不安もないし悩まない」って。

 彼は、悩むことで自分を傷つけるのが嫌みたいです。

マサイ族の“誇り”

――改めて、マサイ族の一番好きなところ、誇りに思っているところを教えて下さい。

鶴本 ジェームスは、「マサイは大きな病気をすることがない」だそうです。小さい頃から薬草で病気や怪我を治していたり、自然の中で育ってきているから、健康的っていう意味みたいです。

 あと、「マサイとして生まれてきてよかった」とも言ってます。「日本人で生まれたら、頭がよすぎてよく分からなくなっちゃうかもしれないから」って。たぶん冗談ですけど(笑)。