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自分がどれだけ“もの”に頼って生きてきたかを実感
――鶴本さんも、マサイ族のジェームスさんと出会って人生が一変したかと思いますが。
鶴本 それは本当にそうですね。マサイ村に行った時、自分がどれだけ“もの”に頼って生きてきたか改めて思い知らされて、無力感を覚えました。
同時に、ものがなくても楽しく生活できることに気付けたのは、すごく大きかったです。たとえば時計がなくても、マサイは花が何分咲きか確認することで大体の時間を把握できたり、水筒もペットボトルも持ってなくても、どの葉っぱを吸えば水分補給できるかを熟知しているんです。
あと、動物の生態にも詳しいし、ジェームスとだったら、天災で何もかもなくなったとしても生きていけるなって思ってます。
――一方で、村の暮らしには苦労もあったかと思います。
鶴本 そうですね。私はお腹が弱くて体調を崩しがちなので、村で生きるのは大変なんですけど、何もかも違う外国人の私を受け入れてくれる彼らには感謝しかないし、そういう意味でも、第二の居場所としてマサイ村を大切にしていきたいんです。
写真=石川啓次/文藝春秋
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