なぜ中国は苦戦?

 テレビや電子機器などの製品は価格の安い中国製品が世界シェアを握っている。日本でもおなじみの家電メーカーHaier(ハイアール)は、16年連続で白物家電の世界シェア1位だ*。またHisense(ハイセンス)のテレビは、2024年に国内で最大40.4%を占めるなど、国産メーカーを抜いてシェア1位となった(日経新聞・BCN 2024年調べ)。
*Global Major Appliances 2025 Brandランキングより

 しかし、機能も単純で、サイズも小さく価格も安い中国製のコンセントがなぜ世界で苦戦しているのか? その理由はいくつか考えられる。

■1.価格力では優位だが、世界からの信頼性が低い

 早くから日本企業のパナソニックや東芝がアジアに進出していたので、信頼と安全のブランドになっている。とくに公共施設などでは、施主が日本製コンセントを指定する場合がある。
 

■2. 中国国内の「GB規格」が世界基準から外れている

 中国ローカルのGB規格は世界基準のIECとずれている。また製品と安全基準と施工基準が連携していないため、施工ミスの事故も多い。日本のJIS規格はIECに準じているため、世界基準で海外に販売しやすく安全・施工基準も整備されている。

 

■3. 多くの模造品と安定しない品質

 正規メーカーでも品質が安定せず、模造品も多く出回っているので、安全性、信頼性に欠け、低価格でも選ばれない。

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 日本製コンセントの品質が安定しているのは世界も認めるところで、世界全体の火災原因の1位が「電気火災」であるのに対し、日本国内では「たばこ・不審火」となっていることからも分かる。

海外に拠点を移しても、100年以上培ってきた電材事業のノウハウや技術は、三重県の津工場が手本になっている。それは機械や数値だけでなく「物を作る前に人を作る」という創業者の経営理念が元になっている(出典:パナソニック資料「EW社海外電材事業の取り組み」)