ヨーロッパにもシェアを広げつつある

 こうして日本から東南アジア、そしてインドからトルコと西(社内では「Go!WEST」との掛け声もあるという)に勢力を拡大する先には、電材で世界1位のシェアを持つフランスのLegrand(レグランド)社がある。

 実は世界の電材主要メーカーは、ほとんどがヨーロッパを拠点としている。アメリカ企業は数少なく、かのエジソンが設立したゼネラル・エレクトリック社ですら電材メーカーとしての存在感は非常に薄いのだ。

世界の電材主要メーカー(筆者作成)

 パナソニックはヨーロッパにも着実にシェアを広げており、世界トップが現実味を帯びてきている。

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急速な経済成長を続けるベトナム

 ヨーロッパ進出への足掛かりとなるトルコ、国内需要の急増が確実視されるインドは、パナソニックが重要とする2国。3つ目は、経済発展が著しいベトナムだ。

3つ目の最重要国ベトナム工場。南のホーチミンから車で1時間ほどの工業団地にある(筆者撮影)
人件費の高騰に伴い、オートメーション化を進めコスト力を強化しているベトナム工場(筆者撮影)

 これには中国(上海)と台湾に生産拠点を置くチャイナリスク分散の一面もあるようだ。日本企業の多くが熱い視線を送るベトナムは、次のような魅力がある。

  • 勤勉な国民性
  • 安い労働力(中国の1/3、タイの半分)
  • 若い働き手(しっかりした教育制度)
  • 経済発展が著しい(失業率の低さが世界105カ国中第5位)
  • チャイナリスクが意外に低い(隣接し経済が依存関係にあるが、同じ社会主義国家でも中国よりアメリカ寄り)
  • 日本企業も参入し新都市を開発中
世界がベトナムに注目する理由。社会主義国家で中国との関係も強いが、アメリカともうまくやっているという「根はしっかり張りながら柔軟にしなる“竹外交”」が有名。近年の経済発展が目覚ましく、教育熱心なので若い優秀な人材が多いという(出典:パナソニック資料「EW社海外電材事業の取り組み」)