日本の家電メーカーは中国の低コスト製品に押されて、国内はもとよりアジアや世界でその競争力を失いつつある。しかし製品単価が数百円という製品にもかかわらず、中国に押されることなく、むしろ東南アジア各国を中心に勢力を拡大しているものがある。
それが、パナソニック エレクトリックワークス社*の電材事業(コンセントや壁スイッチなど)だ。
*パナソニック社の傘下で、独立採算をとる電材専門の事業体のこと
創業当時から100年以上続く事業は、いまや世界第2位のシェアに。国内シェアも80%と第1位をキープし、パナソニックの屋台骨を支える事業となっている。
同社は世界シェアトップの座を狙いトルコ、インド、ベトナムを最重要国として工場新設や買収を行い、日本メーカーがまだまだ元気であることを見せている。
コンセントや壁スイッチはパナソニックの“屋台骨”
パナソニックと言えば、テレビや冷蔵庫といった家電を思い浮かべる人がほとんどだろう。しかし主力事業は日本国内のコンセントや壁スイッチなどの「電材」事業である。その事実がほとんど知られることがないのは、コンセントのメーカーをわざわざ確認する人がいないからだ。
また電材と言ってもその幅は広く、電気を使い過ぎると切れる安全ブレーカーや、埋め込みの照明、インターフォンなど多岐に渡る。それらが一般住宅だけでなくオフィスビルや公共施設、建物という建物すべてに使われているのだから、家電と比べ物にならないのが分かるだろう。
2024年6月に示した3カ年の事業見通しでは、海外向けの電材事業が急上昇、2位に白物家電も入るが横ばい、3位に国内電材事業が並ぶ。海外での電材需要が伸びているのは、アジア各国での需要増がけん引車となっているためだ。そのため今後の主力事業として、国内電材のさらなる強化と、海外電材の投資と成長(とくに重要3カ国)、周辺国への展開を据えている。