――年上ポジションになることを避けてきた部分もあるのですか?
佐賀崎 気づいたら年だけ取っていたという感じですね。20代や30代は自分の仕事や生活で精一杯で、人のことを考える余裕がなかった。でもふと気がつくと、いろんな場所で年長者側になってしまう年齢になってきた。それで急に“これまで何もできていなかった自覚”みたいなものがでてきたんです。
――「なりたい大人」になれていなかった?
佐賀崎 大人としての責任みたいなものを何ひとつ履行してこなかった、みたいな感覚があるんですよね。「俺みたいな大人にはなるなよ」という気持ちがずっとあって、若い頃の自分が「こうしてほしかったな」っていう存在にもなれていない。その“贖罪”でもあるんですよね。
「若い頃に自分が面倒を見た人が出世して、自分をもう一度頼ってくれる」というおじさんの願望
――ベリルは「理想のおっさん」なのですね。
佐賀崎 僕も含めて、今の時代って自分のことでいっぱいいっぱいな人がすごく多いと思うんですよ。でも自分も40歳が見えてきたことで、他人のために動ける人が実はすごくかっこいいと思うようになりました。
――他人のために動いた人がちゃんと報われるのはほっとします。
佐賀崎 おじさんの願望として「若い頃に自分が面倒を見た人が出世して、自分をもう一度頼ってくれる」というのは確実にありますよね。元部下が起業して、幹部待遇で呼んでくれる、みたいな(笑)。リアリティと、物語だからこそできる気持ち良さのバランスは考えますね。
――ちなみに、読者層としては30代~50代の“おじさん世代”が中心だとか?
佐賀崎 そうですね、SNSの反応や読者アンケートを見るとそのくらいの年齢の男性が多い印象です。僕自身とも近い属性の方ですね。
――ターゲットを明確に定めていた、というわけではないのですか?
佐賀崎 なんとなく大人の方が共感してくれるのかな、とは思っていました。10代の若者はもうちょっと派手な未来に憧れるものだと思うんですが、仕事や家庭の中で責任を抱えはじめた世代は、おっさんの苦悩や年を重ねたからこそわかる楽しみみたいなものに共感してくれるのかもしれません。
――佐賀崎さんにとって、年を重ねたことで大事だと思うようになったのはどんなことでしょう?
佐賀崎 若い頃は全然思わなかったんですが、人生の終わりに「悪くなかった」と言いたい、みたいなことは最近よく考えます。ベリルの人生もそうなるといいなと思ってますね。
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