出版不況に苦しむ出版業界にいま、救世主のような存在が現れている。それが、“異世界漫画”と呼ばれるジャンルだ。
「“異世界漫画”は正にフィーバー状態と言えるくらい売れに売れています。新シリーズの初版はどこの出版社も2万部弱で、某レーベルでは10タイトル新シリーズをスタートさせると、8タイトルに発売即重版が掛かったという話もあります」(出版関係者)
さらに、4月にコロナウィルスの流行が拡大すると、巣ごもり消費が伸び、ブームに拍車をかけた。
「紙だけでも十分、高い売上を誇っていたのですが、4月以降は紙の売上を上回る勢いで電子コミックが伸びてきています。売上はまさに倍々ゲームで、月の売上が1000万をこえる作品がゴロゴロと生まれてきている。レーベル全体の月の売上が億を超えるのはもはや当たり前の状態となっています。このブームのおかげで出版不況に苦しんでいた出版社で息を吹き返したところも多く、まさに救世主のような存在です」(前同)
作品の掲載で雑誌の部数が伸びる
いまや、どの出版社もこのブームにのっかろうと、同ジャンルの新規作品の立ち上げに躍起にやっているという。
『週刊少年マガジン』は今年7月から『シャングリラ・フロンティア』という“異世界漫画”の連載をスタートさせた。するとその号は実売が1.5%伸びたという。
では、なぜここまで“異世界漫画”が大流行しているのだろうか。それを解説する前にまず、そもそものジャンルの成り立ちについて簡単に説明していきたい。