──息子のロマン・コッポラ監督とは、『メガロポリス』でもタッグを組まれています。
F・コッポラ監督 ロマンとは『ドラキュラ』(92年)でも一緒に仕事をしているよ。あの作品では、ドラキュラが誕生した時代設定に合わせて、当時存在していた技術だけを使って、いろいろな効果を生み出そうと考えていたんだ。ジョルジュ・メリエスが『月世界旅行』(1902年)でやった “マジック”のようにね。
だけど、スタッフはデジタルエフェクトを使いたがった。だから全員クビにしたんだ。そして、たまたまメリエスのような “魔法使い”だった私の息子、ロマンが、マジックを使ってドラキュラの映画を作るのを手伝ってくれた。
『メガロポリス』でも、彼はデジタルではなく、昔ながらの方法でさまざまなエフェクトを生み出してくれた。彼の仕事には、とても感謝している。
映画や芸術は人の道しるべとなり人類に喜びをもたらすもの
──あなたの作品は、暴力的な作品であっても、美しい映像や音楽で彩られています。映画や芸術には、どのような力があると思われますか?
F・コッポラ監督 現代人はとても混乱している。自分が幸せなのか惨めなのかわからない。そういうなかで、道しるべとなり、道を照らしてくれるものが映画や芸術だと私は思っている。
人類は30万年前にこの地球上に誕生して以来、芸術を創造するという並外れた能力を享受してきた。でも芸術の原点は、子どもたちと遊んだり、壁に絵を描いたり、手に絵の具を吹き付けたりというところから始まっているのだと思う。それがやがて伝統的な芸術へと発展したのだ、と。
日本では視覚芸術だけでなく、美しい文芸、詩、絵画、映画、演劇、生け花など、あらゆるものが芸術の対象となっている。つまり、人類に喜びをもたらすものがアートであり映画なのではないか。人々が助け合い、お互いの理解を深めるための手段、といってもいいだろうね。
──これまで数多くの名作を生み出してきたF・コッポラ監督ですが、もっとも思い入れの深い作品はありますか?
F・コッポラ監督 「あなたの子どものなかで、誰が一番のお気に入りですか?」と聞かれているようで答えにくいな。その時々の自分によって思い入れのある作品は変わるけれど、最近個人的に好きなのは『ランブルフィッシュ』(83年)という映画だよ。
もちろん、『メガロポリス』にも強い思い入れはある。何しろ、生まれたての赤ん坊で、素晴らしいテーマを持っているからね。
ところで、あなたにはお子さんがいるの?

