俳優の森川葵がきょう6月17日、30歳の誕生日を迎えた。森川はちょうど2年前、2023年の誕生日には写真集『Ebipilaf』(ND CHOW撮影、SDP発行)を出している。“最初で最後の”と謳ったその写真集で彼女は、それまでドラマや映画、バラエティ番組では見せたことのなかった大胆な水着やランジェリー姿を披露し、意表を突いた。それにしてもなぜタイトルが「Ebipilaf」なのか? 本人は写真集の帯に、次のようにそこに込めた思いをつづっていた。
「“エビピラフ”みたいな存在になりたくて」
《いつも側にあるようで忘れがち/ふと思い出すと無性に恋しい/手元にない時ほど欲しくなる/そんな“エビピラフ”みたいな存在になりたくて》
エビピラフ以外にもピラフはあるので、きっと森川はエビが好物に違いない。これを読めばそう思うのが自然だろう。だが、昨年、彼女がやはり誕生日に出したエッセイ集『じんせいに諦めがつかない』(講談社)で「レモンチェッロ」と題する1編を読んでいたら、《苦手な食べ物はなんですかと聞かれたら、まず初めに「えび」と答えるが》とあるのに出くわした。エビ好きだったんじゃないんかい!
森川がそう書いたのは、一人で海外(具体的な行き先は書いていない)を旅行した際、泊まったホテルの近くのレストランに入って1品だけ注文したのが、その店で一番美味しいと聞いていたロブスターのクリームパスタだった……という話の流れからだ。なぜ、自分の苦手なエビをメインにしたパスタをわざわざ食べに行ったのか。彼女いわく《自分の選択に記憶がない。が、美味しかったのはたしかだ》(同上)。
エビが苦手なのに、それがメインのパスタを頼んで美味しいと感じたり、自分もエビピラフみたいな存在になりたいと語ってみたりと、どうにも割り切れない。しかし、その割り切れなさこそ、世間では“カメレオン俳優”などと呼ばれている森川葵っぽいのかな、とも思わせる。
オーディションで遅刻するもグランプリを受賞
ちなみに森川の出身地で、現在、彼女がふるさと大使も務める愛知県東海市は、名古屋みやげの定番である某えびせんべいの老舗店の発祥の地だったりもする。彼女は同市在住の中学3年だった2010年、10代の女性向けファッション誌『Seventeen』の専属モデルオーディション「ミスセブンティーン」でグランプリを受賞し、芸能活動を開始した。
もっとも、オーディションに応募したのはモデルになりたかったというよりも、お小遣い欲しさだったという。家では毎月お小遣いがもらえなかったので、周りの友達が学校帰りにコンビニで買い食いしているのがうらやましかったらしい。加えて、兄が高校を卒業したら一人暮らしをすると言っており、自分も3年後には家を出ないといけないと漠然と思っていたという。
ミスセブンティーンのオーディションのため上京する際、名古屋駅からのぞみではなくこだまに乗ってしまい、約束の時間に間に合わなくなるハプニングに見舞われる。それでも、車中から編集部へ列車を乗り間違えたので遅刻すると電話で連絡し、オーディションを受けることができた。《未だになぜそんな状況でも受かったのか分からない》と本人は振り返るが(前掲『じんせいに諦めがつかない』)、むしろ中学生ながらそうやってアクシデントに対処できたことが評価されたのではないだろうか。



