役作りで坊主頭に、50歳俳優との『ロミジュリ』も…
1年後に現在所属する芸能事務所のスターダストプロモーションに入ると、翌2012年には映画『LOVE ToRAIN-ラヴトレイン-』、ドラマ『スプラウト』であいついで主演に抜擢され、俳優デビューを果たす。2013年には米倉涼子が高校生を演じたドラマ『35歳の高校生』で、菅田将暉や広瀬アリスらとともに生徒の一人として出演する。
菅田とはこのあと2015年公開の映画『チョコリエッタ』でW主演した。このとき、役作りで坊主頭にして、感情の振り幅の大きい少女を見事に演じきる。その前年の2014年にはTBS系の日曜劇場のドラマ『ごめんね青春!』で、ミッション系の女子高に通う生徒役でレギュラー出演し、一般にも知られ始めていた。
『ごめんね青春!』で脚本を担当した宮藤官九郎とはその後も、映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(2016年、宮藤の担当は脚本・監督)、初舞台となった『ロミオとジュリエット』(2018年、同演出)と、たびたび一緒に仕事をしている。後者は言わずと知れたシェイクスピア作品だが、宮藤の演出だけに、当時23歳だった森川のジュリエットに対し、相手のロミオ役を当時50歳の三宅弘城が務めるという異色の舞台となった。
“カメレオン俳優”と呼ばれることについて
マンガ原作の作品への出演も多く、ドラマ『プリンセスメゾン』(2016年)では、居酒屋に務めながら自分の家を持とうと日々物件を探し回っている寡黙な独身女性・沼越幸を好演した。
そうかと思えば、2018年にドラマ化された『賭ケグルイ』で演じた高校生・早乙女芽亜里は、ツインテールと高飛車な言動が特徴的な天才ギャンブラーという役どころだった。このドラマは大きな反響を受けて翌2019年には続編と映画版もつくられ、人気シリーズとなる。
『賭ケグルイ』出演時のインタビューで森川は、《原作を読んだときに、キャラクターの個性のインパクトがすごいな、と。その再現なしに実写版は完成しないと感じました。表情やしぐさなど熱心に研究したせいか、撮影期間中は何度か英勉監督から『そんな女王様キャラだった?』とツッコまれて(笑)》と、芽亜里に徹底してなりきろうとしたことを明かしていた(『MEN'S NON-NO』2019年5月号)。
このころには、作品ごとにクルクルとキャラを変える彼女に対し、前出の“カメレオン俳優”との呼称が定着していた。彼女自身は役に対してどのような思いで向き合っているのか? 当時あるインタビューで問われると、《何で自分をいろんな人に知られなきゃいけないんだろうって思うときがあるんですよ。『森川はこういう奴だ』っていうイメージがないほうがきっと、観る人がスッと作品に入っていけるような気がするので。だから演技するときは、なるべく自分自身を出さずにどれだけその役になれるかっていうことを考えています》と答えている(『Cut』2016年1月号)。



