工芸高校時代の友人からの言葉

 ただ一方で、名古屋の工芸高校時代からの友達(前掲のエッセイ集の巻末に特別寄稿している)によれば、森川は在学途中より授業にほとんど出られないほど仕事が忙しくなっても、テストではしっかり100点をとっていたという。その友人は森川が当時「暗記科目はなんとなく写真を撮るようにページを記憶している」と言っていたと明かした上、《人より随分と器用であることはテストの点数でも家具作品[引用者注:学校での課題]でも感じていましたが、きっと裏で努力もしていただろうその姿は今テレビで見る姿と変わらないのかなと思います》と顧みている。のちに「ワイルドスピード」と呼ばれる下地は、学生時代にはすでに培われていたようだ。

森川葵のインスタグラムより

『どうなの課』に出演中も、森川は俳優としてさまざまな作品に出演している。昨年には東野圭吾のミステリー小説を映画化した『ある閉ざされた雪の山荘で』で麻倉雅美という舞台女優を演じた。雅美はずば抜けた演技力を持ちながら、所属する劇団の次回公演ではキャストに選ばれず絶望していたところ、さらに俳優生命の危機に立たされる。雅美はそれまで自信満々で来ただけによけい、挫折したときの絶望は深かった。これに対し森川本人は、もともと自信がないからこそ、たとえ困難にぶち当たってもそれが当たり前と思い、前に進めるのかもしれない。

映画『ある閉ざされた雪の山荘で』(2024年)では天才女優役を演じた(映画公式Xより)

新ドラマではエリート刑事に挑戦

 いよいよ30代に入り、今月27日公開のアニメ映画『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』ではサリファという少女役でゲスト声優を務める。さらに来月スタートのドラマ『スティンガース 警視庁おとり捜査検証室』で、トップエリートの警視という役どころで主演を務める。刑事ドラマは意外にも初挑戦、しかも毎回、劇中でさまざまな変装も披露するというから、まさに森川の本領発揮というところだろう。

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7月スタートの新ドラマ『スティンガース 警視庁おとり捜査検証室』(関西テレビ・フジテレビ系)で主演を務める

『どうなる課』は昨春放送が終了し、それまでウェブ上で配信されていた彼女のチャレンジ動画もすべて削除されてしまった。筆者はいつでも見られると油断していて、結局見ていない動画も少なくない。それだけに、いまになって無性に見たくなっている。ハッ、これこそ彼女が目指す「エビピラフみたいな存在」というやつなのか!?

2023年に初の写真集『Ebipiraf』を発売(森川葵のXより)

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