黒字ノートが不登校の“万能鍵”になった
夫も参加し、2人で書き終えて顔を見合わせ、頷き合った。夫婦連合ができた。穏やか、楽しいことを見つける、活気が出て来た、眼がきらきら、正直、感じがいい、はつらつ、控えめ、ひたむきなど、黒字は子どもの人間性に目を向けた表現に変わって行った。
それを読み直し、子どもそれぞれの人間性や性格を正確に捉えていることに気づいた。わが子たちを“個”として育てる意識がつよまった。また、わが子たちを躊躇なくほめられるようになった。
子どもたちは、自分のよさを言い聞かされ続けて、自分のよさを自覚し、成長の笑顔が増えた。やがて子どもたちはきょうだい揃って登校するようになった。
短期療法には、困難な問題を解決する「万能鍵」(スティーヴ・ド・シェーザー)がある。それは、どんな問題にも有効な解決の手だてのことである。それは具体的に「書け、読め、焼け」(同前)である。
それはこの場合、黒字ノートを書き、書いたものを読み直し、そして焼くという作業をすることである。焼くとは、書いたものをしまい、新しいステップに進むことである。黒字ノートは万能鍵の一つである。
*補足
かつて地域の大学に短期療法を専門とする教授が在任していた。短期療法を教えていた。その教え子たちが、地域に「短期療法を学ぶ会」をつくり、今でもその学び合いを続けている。
この養護教諭もこの学ぶ会に参加し、学校で短期療法による問題解決に取り組んでいた。黒字ノートも学び覚えた手法の一つであった。黒字ノートは肯定的自己像を膨らませるのに有効な技法である。平易であり、根気強く続けると問題解決が早まる。
