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消防団に入って1年半後、大学に合格
部員たちは、「ここへ来て半年経つころから、男っぽくなってきた。頼りになる、仕事を任せても安心」と語るようになっていた。この間、出動は2回あった。
1回は、家屋の火災であった。このとき、部長は「今日は危ないから、詰所で留守番だ」と命じた。もう1回は、河川敷の枯れ草が燃えているときの部長を入れての3人での出動であった。ホース運びをし、放水も行った。1回は消防自動車での出動を願っていたので、満足した。
消防団に入って1年半後、高校卒業程度認定試験を経て、大学に入った。喘息もアトピー性皮膚炎も、不思議と気にならなくなった。
この青年は、部長と団員たちから男らしくなる感化を得た。風貌も言動も男っぽくなり、母親から自立した。協働精神も身に着けた。
消防団の部長が示したのは「個人の個性的人格」(安渓真一、矢吹省二)である。その本質は、わが国の父親たちが大切にしてきた「父なるもの」(同前)、つまり父性である。わが国の父親がこれをなくしたから、不登校が増えている。憂えるべき現実である。
車のエンジンをかける、これが母親の子どもへの過剰すぎる過干渉・過保護の象徴である。幼い頃から続けてきたこの行為が不登校の発生脆弱性を育ててきた。
