アメ車が売れないこの国にも、アメリカのカスタム文化はたしかに息づいている。海の向こうに思いを馳せる、ホットなオーナーたちの素顔に迫る!
今回は、「37th MOONEYES Street Car Nationals®」の出展者から、シボレーのピックアップトラックに乗る「ナナ」さんをご紹介。
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「アメ車のいろは」を愛車で学ぶ
この車はシボレーのC10といって、1977年式の車両ですね。私が今23歳なんで、倍くらい年上の車なんですよ。
買ったのは19歳のときで、整備士の専門学校に在学中、アメ車系のショップに内定をもらったタイミングでした。そこの社長さんにピックアップがほしいと相談したところ、「77年式のC10に乗っている人がいるけど、どう?」と紹介してもらって。
私の名前がナナなので、ちょっと運命的にも思えましたし、実際に見せてもらったらもう、完全に一目惚れしてしまって。
「ちゃんと維持できるかな」という不安はありましたけど、勢いで購入を決めましたね。
そもそもアメ車に乗ろうと思ったのは、もうずっと小さい頃からなんです。私が幼稚園の頃に父がシボレーのサバーバンに乗りはじめて、そのインパクトが今でも残っているんですよね。
高校生の頃には「シボレーのC1500に乗りたい」と思っていました。でも、学校ではほとんど車の話はしませんでしたし、車関係の職業に就くとは考えていませんでした。むしろ当時は、ネイルの専門学校に進むつもりだったんですよ。
でも、実際に学校見学に行ってみると、オシャレな人たちばかりで……。自分はちょっとガサツなところがあるので、「これは違うのかも」って。
それで、むしろ整備士の仕事なら、飾らずに作業に没頭できますし、車の知識も深められるので、「自分に向いているんじゃないかな」と思いはじめたんです。
専門に入ってからは、やっぱり車好きばかりの環境で楽しかったですね。ただアメ車好きは少なかったですし、習う内容も一般的なものでしたから、いざC10を整備しはじめても、全然知識は活かせませんでした(笑)。
エアコンを新設、配線も全部引き直し、エンジンは直6からV8に載せ替えて。しかも、最初に載せたときにエンジンをかけたら白煙が止まらなくて、1週間で3回もバラすことになったんですよ。
周りの方に色々と教えてもらって、勉強しながら直していくような形だったので、実際に乗れるようになるまでは3年くらいかかりました。
本当に手間もお金もかかりましたけど、その過程も全部経験になりますし、このC10は自分にとって整備士キャリアの原点みたいな存在です。これからどんな車に乗ったとしても、このC10だけは絶対に手放したくないですね。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。