「私は価値のないブス」と思っていたけど…

こずえ 「私は価値のないブスだ」というような思い込みや、「女に生まれてごめんなさい」という深層心理があったのですが、セラピーでは、生まれる前に亡くなったお兄ちゃんから、「君は好きなように生きればいいんだよ」という言葉を受け取ることができました。そういった心の根幹にある自己否定をリセットできたことが、自己肯定感の向上につながったと思います。

――それで変わった。

こずえ 徐々にですが、「私もキレイになっていいんだ」って許せるようになりました。若い頃は、ブランドバッグ持って髪を巻いたキラキラ女子を敵視していましたが、本当は羨ましかっただけなんですよね。

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 40過ぎて、ルイヴィトンのバッグとかセルジオロッシの靴とかブランド品を初めて買って、髪も巻いて、キラキラする許可を自分に出せるようになりました。

――外見を変える努力は何かされましたか?

こずえ ファッションやヘアメイクの努力もありましたが、歯科矯正が大きかったですね。普通の歯科医では抜かない前歯の隣の歯を抜くことで、口元が大きく引っ込み、Eライン(理想的な横顔のライン)ができました。

――歯科矯正、なるほど! 口元の変化は顔全体の印象を大きく変えますね。

こずえ はい。そもそも健康上の理由で始めたので期待していなかったのですが、口元だけでなく、コンプレックスだった鼻も、少し小さくなったような気がします。

 頑固なブスコンプレックスを、心や考え方だけで解消するのは難しいですが、160万円で3~4年かけて本当に外見を変えたことが、「キレイになった」と思い込む、拠り所になってくれました。

――内面の変化と外見の変化が相互に影響し合ったのですね。

こずえ そうです。「外見が確かに変わった」という事実が、内面の変化「ブスをやめる」という気持ちの背中を押し、その内面の変化が自信につながって、外見を変えていくという、好循環が生まれました。

 自己否定が強いままだと、矯正や美容整形等の力づくの変化は「もっともっと」と、際限がなくなってしまいがちですが、心の矯正と並行して行うならば、外見を変えたことが、ブス眼鏡を外す心の支えになると思います。

自己肯定感を高めることが「ブスやめ」につながった ©山元茂樹/文藝春秋

――外見だけでなく、内面の努力も、そして自己肯定感の向上も、カメラを通して客観視する努力も、すべてが結びついているのですね。

こずえ 客観視すること、そして、自己否定をやめて自己肯定感を高めることが、ブスをやめるうえでとても重要でした。

――Instagramではご自身で作られた洋服の紹介もされていますが、こずえさんと洋裁の出会いは?