――上京してセクシー女優としてデビューすることで、新しい人生を歩めると思った。

神野 知り合いからセクシー女優という話をもらった時に、「やってみたい!」と思ったんです。大学進学後、「良い子ちゃんな私」と「自由奔放な私」の間でバランスがとれなくなっていて。インターンで働く傍ら、マッチングアプリで知り合ったホストのお店に数ヶ月通ってました。「早くここから抜け出さないとダメ」と分かりつつ、緩やかに悪い方へと傾きかけていました。

 でも、そんな時にセクシー女優という選択肢をいただいて衝撃が走ったんです。なぜか「ここまできたら全部やり切って終わりたい」と思ってしまって。当時はセクシー女優が光り輝いてたというか、救いに見えました。

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「デビューしたらどうなるの?」「大学生活はどうしよう」「周りはどう思うのかな」とか一切考えることなく、気づいたら所属先が決まってメーカーの面接に行っていました。

 

デビュー後は自由になれたようで、何も変わらなかった

――デビューはすんなりと決まってしまったと。

神野 「現役女子大生」くらいしか強みのない私を事務所が熱心に営業してくれて、わりとすんなり決まりました。最初は大学名を出していなかったけど、すぐにネットで身バレしてしまって。監督やメーカーの人にも「え、早稲田だったの? 早く言ってよ」と言われました。

――デビューしてから自由になれた感覚はありましたか。

神野 自由になれたようで、多分何も変わらなかったと思います。もちろん環境がガラッと変わったので、そういう意味でこんな世界があったんだと新しい扉を開けた気持ちはありましたが、自分自身が変わることはなかった。むしろ新たなしがらみが生まれたり、辛いことがたくさんありました。

――セクシー女優を始めて辛かったのはどんな時でしょうか。

神野 まず肉体的に辛かったです。撮影終わりは体がボロボロだったし、痛みもあったし、病院にかかることもありました。自分の体がずっと消費され続ける苦しみもありました。

 それとふとした時に、「自分の未来はこれで終わった」って感じる瞬間があって。普通の人生を歩めないというか、望んじゃいけないんだなって思っていました。大学の友達が普通に結婚とか出産とか就活の話をしていても、自分には関係のないことだって。

 あとは自分の気持ちを誰かに相談することができなかったのも辛かったです。大学の友達とは置かれてる環境も全く違うし、セクシー業界の話を聞いてもらうのは心苦しかったので、自分だけでずっと抱えていました。